判旨
控訴裁判所が第一審判決を破棄し、自ら判決(自判)をする際、第一審判決の認定事実に誤りがない場合には、その確定事実に基づき法令を適用して判決を下すことが可能である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法に基づき、控訴裁判所が第一審判決を破棄して自判を行う際、改めて事実認定を行う必要があるのか、あるいは第一審が確定した事実をそのまま基礎とできるかが問題となる。
規範
第一審判決に事実の確定に影響のない法令適用の誤りがある場合、控訴裁判所が同判決を破棄して自判するにあたっては、第一審判決の確定した事実に法令を適用すれば足りる。
重要事実
本件において弁護人は、控訴裁判所が第一審判決を破棄し自判する際の事実認定の手続等について法令違反を主張したが、具体的な事案の詳細は本判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁判所は、過去の判例(昭和28年11月10日第三小法廷判決)を引用し、第一審判決の事実確定に誤りがないことを前提とするならば、その事実をそのまま用いて法令を適用し自判を行うことは適法であるとした。本件の上告趣意は、単なる法令違反や事実誤認、量刑不当の主張にとどまり、上告理由に当たらないと判断された。
結論
本件上告は棄却される。第一審の確定事実に法令を適用して自判した控訴審の判断は妥当である。
実務上の射程
控訴審における破棄自判の際、第一審の事実認定をそのまま引用できる限界を示す。事実認定自体を争う場合は別だが、適法な事実認定を前提とした法令適用の誤りのみを正す場合には、新たな証拠調べや事実認定を経ることなく自判できるという手続的簡略化を認める実務上の指針となる。
事件番号: 昭和28(あ)4377 / 裁判年月日: 昭和29年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴事実と判決認定事実の基本的事実関係が同一である場合には、訴因変更の手続を経ることなく別個の事実を認定しても、審判の範囲を逸脱した違法があるとはいえない。 第1 事案の概要:被告人が起訴された事実に対し、第一審判決は起訴事実とは異なる事実を認定した。弁護人は、この認定が訴因の範囲を外れており、不…