上訴審において訴訟費用の裁判を是正すべき場合は、単に本案の裁判に対し上訴の申立があつただけでは足らず、その上訴が適法かつ理由があり、本案についても下級審の判決が取り消される場合に限るものと解すべきである(昭和三〇年(あ)第二九五五号同三一年一二月一三日第一小法廷判決、刑集一〇巻一二号一六三三頁参照)。
上訴審における訴訟費用の是正。
刑訴法185条
判旨
上訴審において訴訟費用の裁判を是正すべき場合は、単に本案の裁判に対し上訴の申立てがあっただけでは足りず、その上訴が適法かつ理由があり、本案についても下級審の判決が取り消される場合に限られる。
問題の所在(論点)
本案に対する上訴が不適法であるか、または理由がない場合であっても、上訴審において下級審が命じた訴訟費用の裁判を是正することができるか。
規範
上訴審において下級審の訴訟費用の負担に関する裁判を是正し得るのは、単に本案の裁判に対して上訴がなされただけでは不十分であり、当該上訴が適法かつ理由があることにより、本案について下級審判決が取り消される場合に限定される。
重要事実
被告人AおよびBは、下級審の判決に対し上告を申し立てた。被告人Aの弁護人は、事実誤認や量刑不当を主張するとともに、訴訟費用の裁判についても是正を求めたが、その上告理由は刑訴法405条の上告理由に当たらないものであった。また、被告人Bの上告も、実質的には量刑不当の主張にすぎず、適法な上告理由を備えていなかった。
事件番号: 昭和26(れ)1288 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法違反を主張する上告趣意であっても、その実質が単なる量刑不当の主張に帰する場合には、刑事訴訟法405条の上告理由には該当しない。 第1 事案の概要:被告人側が量刑の不当性を理由に憲法違反を主張して上告を申し立てた事案であるが、判決文からは具体的な犯罪事実や第一審・控訴審の詳細は不明である。 第2…
あてはめ
本件における各被告人の上告は、事実誤認や量刑不当を主張するものであって、刑訴法405条所定の上告理由に当たらないか、または判例違反の前提を欠くものである。このように本案についての上告が採用に値しない(適法な理由がない)以上、付随的な裁判である訴訟費用の負担に関する判断を是正する余地はないと解される。
結論
本案についての上告が適法かつ理由があるといえない以上、訴訟費用の裁判を是正することはできず、本件各上告は棄却される。
実務上の射程
訴訟費用の裁判(刑訴法181条等)に対する不服申し立ての独立性を制限し、本案の判断に従属させる実務上の運用を認めたものである。答案上は、本案の上訴が排斥される場合に、訴訟費用のみを争点として判決を覆すことはできないという文脈で使用する。
事件番号: 昭和26(あ)3297 / 裁判年月日: 昭和28年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、事実誤認の主張や逮捕時の警察官の行動に対する非難は、憲法違反をいうものであっても適法な上告理由には当たらないとしている。 第1 事案の概要:被告人が逮捕された際、警察官が何らかの行動をとったが、弁護人はその逮捕当時の警察官の行動を非難し、併せて憲法違反や事実誤認を主張して上告を申し立てた…
事件番号: 昭和47(あ)1008 / 裁判年月日: 昭和48年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法405条に基づく上告において、引用された判例と事案を異にする場合は判例違反には当たらず、単なる法令違反の主張も適法な上告理由を構成しない。職権による破棄を定めた同法411条の適用要件も満たされない限り、上告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:検察官が、原判決には判例違反および法令…
事件番号: 昭和44(あ)2262 / 裁判年月日: 昭和47年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による上告理由のうち、憲法28条違反の主張は実質的な事実誤認または単なる法令違反にすぎず、判例違反の主張も事案を異にするため、刑訴法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:検察官が、被告人らによる行為の正当性に関する判断に憲法28条(労働基本権)違反および判例違反があるとして上告…
事件番号: 昭和39(あ)1363 / 裁判年月日: 昭和41年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人および弁護人による事実誤認、法令違反、量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しないため、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が、第一審または第二審の判決に対し、事実誤認、単なる法令違反、および量刑不当を理由として最高裁判所へ上告した事案である。 第…