韓国銀行券が関税法にいう貨物に当るとした原判示は相当である(昭和三〇年(あ)第四七六号同三二年一〇月一一日第二小法廷決定、刑集一一巻一〇号二五七一頁・昭和三五年(あ)第七〇四号同三七年一〇月三〇日第三小法廷判決、刑集一六巻一〇号一四三四頁各参照)。
韓国銀行券は関税法上の貨物か。
関税法1条,関税法2条1号,関税法2条2号,関税法2条3号,関税法2条4号,関税法3条,関税法111条1項,関税定率法3条,関税定率法1条,関税定率法同法別表(昭和36年法律第26号による改正前のもの)1140
判旨
外国紙幣(韓国銀行券)は、関税法にいう「貨物」に該当する。
問題の所在(論点)
外国紙幣(本件では韓国銀行券)が、関税法上の輸出入の客体である「貨物」に該当するか。
規範
関税法上の「貨物」とは、およそ輸出入の対象となり得る有体物を指し、特定の外国通貨であっても、その流通性や国内法上の位置付けにかかわらず、輸出入の客体となる限りにおいて同法の「貨物」に含まれる。
重要事実
被告人が韓国銀行券を本邦に持ち込もうとした行為について、関税法違反(無許可輸入等)が問われた事案である。被告人側は、当該銀行券が通貨としての性質を有することから、関税法にいう「貨物」には該当しないと主張して上告した。
事件番号: 昭和32(あ)2968 / 裁判年月日: 昭和35年10月28日 / 結論: 棄却
一 関税法三条によれば輸入貨物には関税定率法により関税を課す旨定めているが、同法別表輸入税表一一四〇は「紙幣、銀行券」を無税としている。紙幣銀行券は無税ではあるが関税法上貨物であることはこれによつて明らかである。紙幣銀行券が外国為替及び外国貿易管理法において支払手段として取扱つているからといつて、右関税法並びに関税定率…
あてはめ
判旨は詳細な理由を付していないが、先行する判例(昭和32年10月11日決定等)を引用し、韓国銀行券が関税法上の貨物に当たるとした原審の判断を「相当である」と是認した。これは、外国紙幣が国内においては強制通用力を有しない経済的価値を有する有体物として、輸出入規制の対象となるべき物品性を備えていることを前提としたものと解される。
結論
本件韓国銀行券は関税法にいう「貨物」に該当する。
実務上の射程
本判決は、関税法における「貨物」の概念が広汎であることを示しており、通貨であっても関税法の規制対象から当然に除外されるわけではないことを明確にしている。答案上は、物品の性質が特殊であっても、経済的価値を有し輸出入の対象となり得るものであれば「貨物」該当性を肯定する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)476 / 裁判年月日: 昭和32年10月11日 / 結論: 棄却
米国弗表示軍票は関税定率法(昭和二九年法律第四二号による改正前のもの)第一条別表記載の紙幣に該当し旧関税法第一条の貨物である。
事件番号: 昭和37(あ)1443 / 裁判年月日: 昭和37年11月15日 / 結論: 棄却
一 弁護人の所論各点に関する原審の判断は正当として首肯できる。 二 (原判決の要旨)時計の如くその銘柄、型式、石数、側等による種別の多数に上る品物にあつては、それらによつて他から完全に区別し得る程度に表示するのは甚だ困難であつて、判決にこれを表示するに当つては、要するに被告人が同一物につき再度起訴される虞れがなく、又そ…
事件番号: 昭和30(あ)402 / 裁判年月日: 昭和35年6月24日 / 結論: 棄却
一 米国軍票は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第八号にいう「対外支払手段」に該当する。 二 軍票の日本銀行に対する寄託業務を定めている昭和二七年政令第一二七号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令第四条第二項の規程は、単に対外支払手段等の…
事件番号: 昭和30(あ)341 / 裁判年月日: 昭和33年3月14日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】支払手段や貨物の「輸入」の既遂時期は、税関の関門を通過して外部に持ち出すことによって完了する。したがって、空港の旅具検査所等で税関吏員に発見され、いまだ税関の実力的支配下にある状態では、既遂罪は成立しない。 第1 事案の概要:被告人は、釜山から米国軍票を携帯して羽田空港に到着した。外貨申告手続にお…