一 米国軍票は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第八号にいう「対外支払手段」に該当する。 二 軍票の日本銀行に対する寄託業務を定めている昭和二七年政令第一二七号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令第四条第二項の規程は、単に対外支払手段等の集中制度の一つとして軍票に対する所有権の行使を制限したにとどまり、これを剥奪する趣旨のものではない。
一 米国軍票は外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第八号にいう「対外支払手段」に該当するか。 二 昭和二七年政令第一二七号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令第四条第二項の趣旨。
外国為替及び外国貿易管理法6条1項7号,外国為替及び外国貿易管理法6条1項8号,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約3条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令(昭和27年政令127号)2条10号,昭和27年政令127号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令4条2項
判旨
米国軍票は外国為替及び外国貿易管理法上の対外支払手段に該当し、その寄託義務を定める政令は所有権の行使を制限するにとどまり、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 米国軍票は外国為替及び外国貿易管理法上の「対外支払手段」に該当するか。2. 軍票の寄託義務を定める政令が、所有権の剥奪として憲法29条等に違反しないか。
規範
外国為替及び外国貿易管理法にいう「対外支払手段」とは、外国通貨その他通貨の単位を問わず、外国通貨をもって表示され、または外国において支払手段として使用することができるものを指す。また、財産権の行使を制限する規定であっても、それが所有権の剥奪ではなく、公共の福祉等の目的のために特定の集中制度の一環として行使を制限するにとどまる場合は、直ちに違憲とはならない。
事件番号: 昭和31(あ)338 / 裁判年月日: 昭和33年7月31日 / 結論: 棄却
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令(昭和二七年政令第一二七号)第四条の性格は、外国為替及び外国貿易管理法第二一条の委任命令に外ならず、右政令の効力は安全保障条約ないし行政協定の効力如何によつて左右されるものと解すべきではない。
重要事実
被告人が、米国政府が発行し合衆国通貨をもって表示される軍票を所持していたところ、当時の政令(昭和27年政令127号)4条2項が定める日本銀行への寄託義務に違反したとして起訴された。弁護人は、当該政令が委任の範囲を逸脱し、かつ所有権を剥奪するものであり憲法29条等に違反すると主張して上告した。
あてはめ
1. 本件軍票は、合衆国政府が発行し、かつ合衆国通貨をもって表示されるものであるから、同法6条1項8号の「対外支払手段」の定義に合致する。2. 本件政令は、対外支払手段等の集中制度の一つとして軍票に対する所有権の行使を制限しているにすぎない。これは、支払手段の適切な管理という目的のための合理的な制限であり、所有権そのものを剥奪する趣旨ではない。したがって、財産権の侵害には当たらない。
結論
米国軍票は対外支払手段に該当し、その寄託義務を定める規定は合憲である。上告棄却。
実務上の射程
行政上の目的(為替管理等)に基づく財産権の「行使の制限」と「剥奪」を区別する際の指標となる。また、委任命令の有効性や行政協定の違憲性判断(砂川事件判決の引用)が必要な場面での参照価値がある。
事件番号: 昭和33(あ)1620 / 裁判年月日: 昭和34年8月28日 / 結論: 棄却
本邦人以外の居住者が、自己が外国において有する外国銀行預金にもとづいて、本邦内で小切手を振出した場合も、外国為替等集中規則第三条第一項にいう対外支払手段の「取得」にあたる。
事件番号: 昭和37(あ)624 / 裁判年月日: 昭和40年1月20日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第一項第三号は憲法第二九条に違反しない。
事件番号: 昭和38(あ)2629 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律が基本的な規制を概括的に規定し、具体的な犯罪構成要件の細目を政令に委任することは、特に経済統制法規のような専門的・流動的な分野においては憲法73条6号但書、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、外国為替及び外国貿易管理法(当時)27条1項3号に違反して、許可を受けずに非居住者のた…
事件番号: 昭和36(あ)2939 / 裁判年月日: 昭和37年11月15日 / 結論: 棄却
一 約束手形は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第七号の支払手段に含まれる。 二 外国為替及び外国貿易管理法第二七条第二項第一号に規定する支払の主体には、非住居者に限られ、居住者を含まない。