一 約束手形は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第七号の支払手段に含まれる。 二 外国為替及び外国貿易管理法第二七条第二項第一号に規定する支払の主体には、非住居者に限られ、居住者を含まない。
一 約束手形は外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第七号の支払手段に含まれるか 二 外国為替及び外国貿易管理法第二七条第二項第一号に規定する支払の主体には住居者を含むか
外国為替及び外国貿易管理法6条1項7号,外国為替及び外国貿易管理法27条,外国為替及び外国貿易管理法27条2項
判旨
約束手形は、外国為替及び外国貿易管理法(外為法)6条1項7号にいう「支払手段」に該当し、また同法27条2項1号にいう非居住者の支払等には非居住者による支払のみならず、居住者が非居住者のためにする支払も含まれる。
問題の所在(論点)
1.約束手形は、外為法6条1項7号に規定される「支払手段」に含まれるか。 2.外為法27条2項1号の「非居住者の支払」は、居住者が非居住者のために行う支払を含むか。
規範
外為法6条1項7号の「支払手段」には約束手形が包含される。また、同法27条の定める制限の対象となる「支払」には、形式的な名義のみならず、実質的に非居住者のために、あるいはその指図に基づいて行われる居住者の行為も含まれると解する。
重要事実
被告人らは、外為法の規制に反して約束手形を交付・利用するなどし、非居住者との間で不当な決済に関与したとして同法違反で起訴された。原審は、約束手形が同法上の「支払手段」に当たると判断し、かつ同法27条2項1号の「非居住者の支払」に本件の態様が該当するとしたため、被告人らが上告した。
事件番号: 昭和36(あ)2543 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七第二項第一号は、非居住者が同号記載の費用を支弁するため本邦通過で支払う場合を規定したものと解すべきである。
あてはめ
1.約束手形は、為替手形と同様に指図文句(「受取人またはその指図人」)を有する指図証券としての性質を有している。この性質に鑑みれば、法文上の「支払指図」の定義を充足し、経済的実態としても支払の機能を果たすものであるから、同法6条1項7号の「支払手段」に含まれると解するのが相当である。 2.外為法の目的である国際収支の均衡や通貨の安定を考慮すれば、禁止される支払の範囲を厳格な名義人に限定すべきではない。したがって、非居住者のために行われる支払も、同法27条2項1号の規制対象に含まれる。
結論
約束手形は「支払手段」に該当し、居住者による非居住者のための支払も同法の規制対象となるため、原判決の解釈は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
行政法規の解釈において、形式的な文言のみならず、法目的(通貨の安定等)や経済的実態を重視して「支払手段」や「支払」の概念を拡張的に捉える判例として、経済犯罪の事案で活用できる。
事件番号: 昭和37(あ)906 / 裁判年月日: 昭和38年12月4日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第二項第一号は、非居住者が同号記載の費用を支弁するため本邦通貨で支払う場合を規定したものと解すべきである(昭和三六年(あ)第二五四三号同三七年一二月一八日第三小法廷決定、刑集一六巻一二号一七〇六頁参照)。
事件番号: 昭和37(あ)624 / 裁判年月日: 昭和40年1月20日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第一項第三号は憲法第二九条に違反しない。
事件番号: 昭和30(あ)402 / 裁判年月日: 昭和35年6月24日 / 結論: 棄却
一 米国軍票は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第八号にいう「対外支払手段」に該当する。 二 軍票の日本銀行に対する寄託業務を定めている昭和二七年政令第一二七号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令第四条第二項の規程は、単に対外支払手段等の…
事件番号: 昭和36(あ)1186 / 裁判年月日: 昭和37年7月13日 / 結論: その他
外国為替及び外国貿易管理法第二六条により非居住者に対する債権を取り立てる場合、標準決済方法によることは、同条の要求するところではなく、外国為替管理例第一〇条第一項が標準決済方法によるべきことを定めているのは、同法第二六条の委任によらないもので、罰則を伴う義務を定めたものではない。