日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令(昭和二七年政令第一二七号)第四条の性格は、外国為替及び外国貿易管理法第二一条の委任命令に外ならず、右政令の効力は安全保障条約ないし行政協定の効力如何によつて左右されるものと解すべきではない。
昭和二七年政令第一二七号第四条の性格と効力。
憲法9条,外国為替及び外国貿易管理法21条,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令(昭和27年政令第127号)1条,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令(昭和27年政令第127号)4条,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約3条,日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定20条1(a)項
判旨
外国為替及び外国貿易管理法(外為法)に基づき軍票の寄託義務を課す政令は、条約や行政協定の実施を目的とする側面があるとしても、本来わが国が独自の立場から規制し得る事項を定めた同法の委任命令としての性格を有する。したがって、当該政令の効力は安保条約や行政協定の効力如何によって左右されるものではない。
問題の所在(論点)
条約の実施を目的として制定された国内政令の効力は、その前提となる条約等の合憲性や有効性に左右されるか。
規範
国内法(外為法)の委任に基づき、対外支払手段の保管義務を定める政令は、条約等の実施を目的としていたとしても、本来わが国が独自の主権に基づき規制し得る事項を定めるものである。かかる政令は独立した国内法上の委任命令としての性格を有するため、その効力は根拠となった条約等の憲法適合性や有効性に依存せず、独立して判断される。
重要事実
事件番号: 昭和38(あ)2629 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律が基本的な規制を概括的に規定し、具体的な犯罪構成要件の細目を政令に委任することは、特に経済統制法規のような専門的・流動的な分野においては憲法73条6号但書、31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らは、外国為替及び外国貿易管理法(当時)27条1項3号に違反して、許可を受けずに非居住者のた…
被告人らは、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(旧安保条約)及び同条約に基づく行政協定の実施に関連して制定された「政令127号」4条2項に違反し、所持する軍票を日本銀行に寄託しなかったとして起訴された。弁護人は、当該政令が安保条約及び行政協定を前提とするものである以上、前提となる条約等が憲法9条に違反して無効であり、したがって本件政令も無効であると主張して争った。
あてはめ
外為法21条は、対外支払手段の管理・保管義務を政令に委任しており、これはわが国が独自の立場から規制し得る事項である。軍票は外為法上の「対外支払手段」に該当し、政令127号による寄託義務は同法21条が定める「保管」の態様にあたる。同政令は安保条約等の実施を目的としているが、実質的には外為法21条の委任に基づく命令である。したがって、条約の効力に関わらず、国内法上の独立した委任命令として有効に存続し得る。
結論
政令127号は外為法の委任命令として有効であり、安保条約等の違憲性を論じるまでもなく、その効力は維持される。上告棄却。
実務上の射程
条約誠実履行義務(憲法98条2項)に基づく国内立法であっても、それが同時に既存の国内法上の委任に基づいている場合、条約自体の合憲性問題を回避して国内法の枠内で解決を図る手法として位置づけられる。答案上は、条約の直接適用性や合憲性が問題となる場面で、国内法(委任命令)としての独立性を論じる際の参考となる。
事件番号: 昭和30(あ)402 / 裁判年月日: 昭和35年6月24日 / 結論: 棄却
一 米国軍票は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第八号にいう「対外支払手段」に該当する。 二 軍票の日本銀行に対する寄託業務を定めている昭和二七年政令第一二七号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令第四条第二項の規程は、単に対外支払手段等の…
事件番号: 昭和37(あ)1868 / 裁判年月日: 昭和39年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律の委任に基づき政令で罰則(犯罪構成要件および刑)を設けることは憲法73条6号但書により許容される。また、不当に長い拘禁後の自白(憲法38条2項)に該当するかは、身柄拘束の経緯、事案の複雑性、自白の時期等を総合して判断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は外国為替及び外国貿易管理法違反の罪に…
事件番号: 昭和38(あ)1801 / 裁判年月日: 昭和40年3月26日 / 結論: 棄却
一 外国為替及び外国貿易管理法第七三条は、事業主たる法人の代表者でない従業者の違反行為につき、当該法人に右行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定と解すべく、事業主において右に関する注意を尽したことの証明がなされない限り、事業主もまた刑責を免れないとする法意である…
事件番号: 昭和33(あ)1620 / 裁判年月日: 昭和34年8月28日 / 結論: 棄却
本邦人以外の居住者が、自己が外国において有する外国銀行預金にもとづいて、本邦内で小切手を振出した場合も、外国為替等集中規則第三条第一項にいう対外支払手段の「取得」にあたる。