米国弗表示軍票は関税定率法(昭和二九年法律第四二号による改正前のもの)第一条別表記載の紙幣に該当し旧関税法第一条の貨物である。
米国弗表示軍票は旧関税法第一条の貨物か
関税定率法(昭和29年法律42号による改正前のもの)1条,関税定率法別表輸入税表1140,旧関税法(明治32年法律61号)1条
判旨
米国ドル軍票は、旧関税定率法1条別表に記載された紙幣に該当し、旧関税法1条にいう「貨物」に当たると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
米国ドル軍票が、旧関税法1条にいう「貨物」および旧関税定率法1条別表にいう「紙幣」に該当するか。
規範
関税法の規制対象となる「貨物」とは、原則として関税定率法の別表に記載された物品を指す。強制通用力を有する軍票であっても、同別表に掲げられた「紙幣」の定義に包含される限り、輸出入の対象となる「貨物」としての性質を肯定すべきである。
重要事実
被告人が米国ドル軍票(米国弗軍票)を輸出入しようとした際、当該軍票が旧関税法上の「貨物」に該当するかが争われた。弁護人は、軍票は特殊な通貨であり、一般の貨物には当たらないとして、関税法違反等の成否について争い上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和37(あ)1322 / 裁判年月日: 昭和39年4月22日 / 結論: 棄却
韓国銀行券が関税法にいう貨物に当るとした原判示は相当である(昭和三〇年(あ)第四七六号同三二年一〇月一一日第二小法廷決定、刑集一一巻一〇号二五七一頁・昭和三五年(あ)第七〇四号同三七年一〇月三〇日第三小法廷判決、刑集一六巻一〇号一四三四頁各参照)。
旧関税定率法1条の別表には「紙幣」が記載されており、米国ドル軍票はこの分類に含まれる。軍票は通貨としての性質を有するが、関税関係法規の適用においては、同別表に記載された物品である以上、特段の除外規定がない限り「貨物」として取り扱われる。したがって、本件軍票を貨物と判断した原判決の判断は正当である。
結論
米国ドル軍票は旧関税法1条の「貨物」に該当する。本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
本判決は、通貨的性質を持つ軍票であっても関税法上の「貨物」に該当することを確認した。経済法や刑法の特別法分野において、法規の参照する別表等に記載がある物品については、その実質的な機能にかかわらず形式的・文言的に「貨物」該当性を認めるべきとの判断手法を示唆しており、定義規定の解釈において参考となる。
事件番号: 昭和28(あ)3440 / 裁判年月日: 昭和33年1月30日 / 結論: 棄却
一 関税法(昭和二三年法律第一〇七号による改正後の明治三二年法律第六一号)第八三条第三項にいわゆる「犯人」の意義とは、密輸入者およびその従犯、教唆犯はもとより密輸入品たるの情を知つてその運搬、寄蔵、収受、故買または牙保をなしたものをも包含する。 二 同法第七六条ノ二第一項にいわゆる「貨物」の意義とは、同法第七四条第七五…
事件番号: 昭和30(あ)402 / 裁判年月日: 昭和35年6月24日 / 結論: 棄却
一 米国軍票は、外国為替及び外国貿易管理法第六条第一項第八号にいう「対外支払手段」に該当する。 二 軍票の日本銀行に対する寄託業務を定めている昭和二七年政令第一二七号日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令第四条第二項の規程は、単に対外支払手段等の…
事件番号: 昭和42(あ)346 / 裁判年月日: 昭和42年10月12日 / 結論: 棄却
関税法第一一一条第一項に違反して輸出された犯罪貨物に関し、同法第一一八条第二項に定める「その没収することができないもの又は没収しないものの犯罪が行われた時の価格」とは、その犯罪が行なわれた当時における犯罪貨物の国内卸売価格を指し、右価格中には内国消費税および通常の卸売取引における適正利潤が含まれるものと解するのを相当と…
事件番号: 昭和32(あ)2968 / 裁判年月日: 昭和35年10月28日 / 結論: 棄却
一 関税法三条によれば輸入貨物には関税定率法により関税を課す旨定めているが、同法別表輸入税表一一四〇は「紙幣、銀行券」を無税としている。紙幣銀行券は無税ではあるが関税法上貨物であることはこれによつて明らかである。紙幣銀行券が外国為替及び外国貿易管理法において支払手段として取扱つているからといつて、右関税法並びに関税定率…