原判決の「以上の事実は原判決挙示の証拠によつて認める」との表示は、第一審判決の掲げた証拠の標目と同一のそれによつて認めたものと解することができるから、原判決には所論のような違法はない。
「以上の事実は原判決挙示の証拠によつて認める」との表示と証拠の標目
刑訴法335条1項
判旨
公職選挙法221条1項の買収罪は、選挙の期日の公示もしくは告示前、または立候補の届出前であっても、特定の選挙につき当選を得る目的をもって行われる限り成立する。
問題の所在(論点)
公職選挙法221条1項所定の「選挙に関し」という要件について、選挙期日の公示・告示前、または立候補の届出前の行為であっても、同罪が成立するか。
規範
公職選挙法221条1項は、選挙の公正を確保するための規定であり、特定の選挙に関し、当選を得る目的等の主観的意図をもって買収行為が行われるのであれば、その時期が選挙期日の公示・告示前、あるいは立候補の届出前であっても、同罪の構成要件に該当し、成立を妨げない。
重要事実
被告人は、大阪府議会議員選挙に際し、自己の当選を得る目的をもって買収行為(原判決判示の行為)を行った。この行為が、選挙期日の告示前や立候補の届出前に行われたものであったため、犯罪の成否が争点となった。
あてはめ
被告人は、大阪府議会議員選挙という特定の選挙において、自己を当選させるという明確な目的を有していた。このような特定の選挙と結びついた目的がある以上、行為時期が形式的な選挙期間(公示後等)の開始前であっても、当該行為は「選挙に関し」なされたものと評価される。したがって、告示前や立候補届出前である事実は、犯罪の成立を否定する理由にはならない。
結論
公職選挙法221条1項の罪は、選挙の公示前や立候補届出前であっても成立する。上告棄却。
実務上の射程
選挙犯罪における「選挙に関し」という要件の広汎性を明示した判例である。答案上では、事前運動の禁止(同法129条)とは異なり、買収罪等の罰則規定については、実質的に特定の選挙を目的とした行為であれば時期を問わず処罰対象となる根拠として引用する。
事件番号: 昭和39(あ)1561 / 裁判年月日: 昭和40年2月3日 / 結論: 棄却
特定の選挙に自ら立候補することを予定して、公職選挙法第二二一条第一項第一号所定の行為を行なえば、たとえ、その行為当時、右選挙に立候補すべき確定的決意が存しなかつたとしても、右の犯罪の成立を妨げない。