刑法二五条二項但書の規定が、懲役または禁錮の執行を猶予され且つ猶予の期間中保護観察に付された者に対し、その期間内に犯した罪について、一年以下の懲役または禁錮の刑を言渡す場合においても、その刑の執行を猶予することを得ないとしているのは、かかる犯人には、再度の執行猶予を相当とする情状がないとするによるものであつて、裁判所の裁量を認めないのは、けだし、刑の正当なる適当の基準を定めたものというべきであり、立法政策の問題に過ぎない。
刑法第二五条第二項但書の法意
刑法25条2項但書
判旨
刑法25条2項但書(現行25条2項)が保護観察中の再犯に対して再度の執行猶予を認めないことは、刑の正当な適用基準を定めた立法政策の問題であり、憲法13条に違反しない。
問題の所在(論点)
保護観察付執行猶予の期間内に罪を犯した場合に、再度の執行猶予を認めないとする刑法25条2項但書(現行25条2項に相当)の規定が、裁判所の裁量を封じるものとして憲法13条に違反し無効となるか。
規範
刑の執行猶予の要件を限定し、特定の事情がある場合に裁判所の裁量を認めない規定は、刑の正当な適用の基準を定めたものとして、立法政策の範囲内に属する。
重要事実
被告人は、懲役または禁錮の刑の執行を猶予され、かつその猶予期間中保護観察に付されていた。被告人は当該猶予期間内にさらに罪を犯し、これに対して1年以下の懲役または禁錮を言い渡される状況にあったが、刑法25条2項但書(当時)の規定により、再度の執行猶予を付すことができないとされた。これに対し被告人側は、同条項が裁判所の裁量を認めないのは憲法13条に違反し無効であると主張して上告した。
あてはめ
刑法25条2項但書が、保護観察中に再犯した者に対し1年以下の刑を言い渡す場合であっても再度の執行猶予を認めないとしているのは、そのような犯人には再度の執行猶予を相当とする情状がないと評価されるためである。これは、司法権の裁量を不当に奪うものではなく、刑罰制度における適正な基準を法律で定めたものといえる。したがって、個人の尊重や幸福追求権を保障する憲法13条に抵触するような不合理な制約ではないと解される。
結論
刑法25条2項但書は憲法13条に違反せず、本件規定を適用して再度の執行猶予を認めなかった判断は正当である。
実務上の射程
執行猶予の欠格事由や裁量的執行猶予の要件が立法府の広範な裁量に委ねられていることを示す判例である。憲法上の権利と刑罰権の行使の関係が問題となる場面、特に執行猶予の不適用に関する違憲主張を排斥する際の論拠として利用できる。
事件番号: 昭和25(あ)538 / 裁判年月日: 昭和25年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】執行猶予を付するか否かは事実審裁判所の自由な裁量に属する事項であり、法定刑の範囲内で実刑を科した判断は憲法13条に違反しない。また、刑の量定が著しく正義に反するという主張は、刑事訴訟法411条が職権破棄事由を定めたものである以上、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:第一審判決が、法定…
事件番号: 昭和35(あ)779 / 裁判年月日: 昭和37年11月16日 / 結論: 棄却
刑法第二五条第二項但書は、憲法第三九条後段、第一四条第一項に違反しない。