判旨
実刑判決が憲法13条(個人の尊重)や25条(生存権)に反するという主張は理由がなく、量刑不当を理由とする上告は刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。
問題の所在(論点)
実刑判決を言い渡すことが憲法13条および25条に違反し、刑事訴訟法405条の上告理由となるか。
規範
刑罰を科すこと、とりわけ自由刑(実刑)を科すことは、犯罪行為に対する適正な法的制裁であり、憲法13条(幸福追求権・個人の尊重)や25条(生存権)が保障する基本的人権を不当に侵害するものではない。また、単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条各号に掲げられた適法な上告理由には当たらない。
重要事実
被告人が犯した具体的な犯罪事実については判決文からは不明であるが、原判決(第2審)が言い渡した実刑判決を不服とし、被告人および弁護人が最高裁判所へ上告した。上告人は、実刑が憲法13条および25条に違反する旨等を主張し、量刑の不当を訴えた。
あてはめ
最高裁判所は、先行する大法廷判決(昭和23年3月24日、同年4月7日)を引用し、実刑が憲法13条および25条に反するものではないと判断した。上告趣意は実質的に量刑不当の主張に帰するものであり、刑事訴訟法405条所定の上告理由(憲法違反、判例違反等)には該当しない。また、職権で調査しても、刑訴法411条を適用して原判決を破棄すべき事由(著しい量刑不当等)は認められない。
結論
本件上告を棄却する。実刑判決は憲法13条、25条に違反せず、量刑不当の主張は適法な上告理由とはならない。
実務上の射程
憲法を根拠として実刑判決自体の違憲性を争う主張は、本判決および引用される大法廷判決により否定されている。答案上、量刑不当を上告理由とする際の「憲法違反」の主張の限界を示す際に参照される。
事件番号: 昭和27(あ)4968 / 裁判年月日: 昭和28年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人に実刑を科すことによりその家族が生活困難に陥るとしても、そのことは憲法25条の規定に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人に対し、下級審において実刑判決が言い渡された。これに対し弁護人は、被告人が収監されることによってその家族が生活困難に陥ることを理由に、実刑を科すことは憲法25条…