判旨
執行猶予を付するか否かは事実審裁判所の自由な裁量に属する事項であり、法定刑の範囲内で実刑を科した判断は憲法13条に違反しない。また、刑の量定が著しく正義に反するという主張は、刑事訴訟法411条が職権破棄事由を定めたものである以上、適法な上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
事実審裁判所が執行猶予を付さず実刑を科した判断は憲法13条に違反するか。また、「刑の量定が著しく正義に反すること」は適法な上告理由(刑事訴訟法405条等)となるか。
規範
1. 被告人を執行猶予にすべきか否かは、事実審裁判所の自由な裁量に属する事項である。2. 刑事訴訟法411条は、上告裁判所が職権をもって原判決を破棄し得る事由を規定したものであり、上告理由を定めたものではない。
重要事実
第一審判決が、法定刑の範囲内において各被告人に対し執行猶予を付さず実刑を科した。原審(控訴審)もこの第一審判決を維持した。これに対し、被告人側は、執行猶予を付さないことが憲法13条に違反し、かつ刑の量定が著しく正義に反するとして上告を申し立てた。
あてはめ
本件において、原判決が法定刑の範囲内で実刑を選択したことは事実審の自由な裁量の範囲内である。したがって、幸福追求権等を規定する憲法13条への違反という評価は成立しない。また、量刑不当の主張は刑訴法411条の職権破棄事由に該当し得る余地があるにすぎず、当事者が主張すべき適法な上告理由そのものを構成するものではない。
結論
本件各上告を棄却する。法定刑内での実刑判決は憲法に違反せず、量刑不当の主張は適法な上告理由とはならない。
実務上の射程
量刑判断(特に執行猶予の成否)が事実審の裁量事項であることを確認する際に用いる。また、刑訴法411条が職権規定であり、上告理由を制限的に解釈する実務上の根拠として引用される。
事件番号: 昭和25(あ)1639 / 裁判年月日: 昭和26年3月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の執行猶予を言い渡さないことや刑の酌量軽減を行わないことは、憲法13条に違反せず、また適法な上告理由にも当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審において、刑の執行猶予が付されず、また刑の酌量軽減もなされなかったことに対し、原審がこれを是認した。弁護人は、このような量刑判断が憲法13条に違反…
事件番号: 昭和28(あ)5511 / 裁判年月日: 昭和30年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法定刑の範囲内で被告人に実刑を科し、執行猶予を付さなかったとしても、直ちに憲法13条に違反するものではない。 第1 事案の概要:被告人に対し、下級審が法定刑の範囲内で実刑判決を言い渡し、執行猶予を付さなかった。これに対し弁護人は、実刑を科し執行猶予を付さないことは憲法13条(個人の尊厳・幸福追求権…