執行猶豫の言渡をするかしないかは、事實審である原審が諸般の情状を考慮して決する自由裁判の問題であつて、當裁判所では他に原判決を破毀するに足る理由があつて事件につきあらたに裁判を仕直す場合でなければ執行猶豫の言渡をすることはできないのである。
最高裁判所が執行猶豫の言渡をすることができる場合
刑法25條,刑訴法448條
判旨
執行猶予の言い渡しは事実審の自由裁量に属する事項であり、上告審において他に原判決を破棄すべき理由がない限り、単なる量刑不当を理由として執行猶予を求める主張は適法な上告理由にならない。
問題の所在(論点)
事実審による執行猶予の非付与という量刑の判断について、他に原判決に違法がない場合に、量刑不当のみを理由として上告を申し立てることが認められるか。
規範
執行猶予の言渡しをするか否かは、事実審が諸般の情状を考慮して決定する自由裁量に属する。上告審においては、他に原判決を破棄するに足りる理由があって自判する場合を除き、事実審の裁量に属する量刑の不当を非難することは、刑事訴訟法上の適法な上告理由とはならない。
重要事実
被告人は、自身の経歴、親族関係、犯行の動機、情状等を斟酌し、刑の執行猶予を求める内容の上告趣意を申し立てた。原判決には法令違反等の他の破棄事由は主張されておらず、単に量刑の不当(執行猶予の付与)のみを争点とするものであった。
あてはめ
本件において、被告人が主張する経歴や親族関係、動機といった諸般の情状は、事実審である原審の自由裁量によって評価されるべき事項である。原判決にはこれら以外に違法な点は認められない。したがって、上告審において量刑の不当のみを非難する論旨は、事実審の合理的な裁量権の範囲内の事項を争うものであって、刑事訴訟法が定める適法な上告理由には該当しないと解される。
結論
本件上告は、適法な上告理由を欠くものとして棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟法第405条(上告理由)の解釈において、量刑不当は原則として上告理由にならないことを示す。司法試験の刑事訴訟法において、上告審の構造や裁量権の限界が問われる際の基礎知識として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)1720 / 裁判年月日: 昭和26年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告の理由が実質的に量刑不当の主張に帰する場合、刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行刑訴法405条等参照)に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が上告を提起したが、弁護人が提出した上告趣意書の内容を検討したところ、その主張の核心は原判決の量刑が不当であるという点に集約…