判旨
量刑は事実審である原裁判所の裁量権に属する事項であり、犯罪の動機や家庭の事情等を理由とする量刑不当の主張は、法律審である最高裁判所に対する適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実審が決定した刑の量定について、犯罪の動機や家庭環境等の事情を理由に、法律審である最高裁判所において争うことができるか(上告理由の適格性)。
規範
刑の量定は、事実審の裁量権に属する事項であり、法律審である上告審の審査対象は、原判決の量刑が著しく不当であるなどの特段の事情がない限り、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
被告人は、犯罪の動機、家庭の事情、今後の生活方針などを詳細に挙げ、原判決の量刑が不当であるとして上告を申し立てた。なお、被告人が具体的にどのような犯罪を行い、どのような刑に処されたか等の詳細は判決文からは不明である。
あてはめ
被告人が主張する動機、家庭の事情、今後の方針といった事情は、いずれも事実認定に基づき判断されるべき情状に関する事項である。これらは、事実審である原裁判所の裁量権に属する刑の量定を非難するものであり、法律上の問題ではない。したがって、適法な上告理由には該当しないと評価される。
結論
本件上告は棄却される。量刑不当の主張は適法な上告理由とならない。
実務上の射程
刑事訴訟法における上告理由の制限を端的に示した判例である。答案上は、量刑不当が直ちに法律の違背を構成しないこと、および上告審(特に最高裁)が法律審であることを説明する際の根拠として用いることができる。
事件番号: 昭和23(れ)27 / 裁判年月日: 昭和23年4月1日 / 結論: 棄却
執行猶豫の言渡をするかしないかは、事實審である原審が諸般の情状を考慮して決する自由裁判の問題であつて、當裁判所では他に原判決を破毀するに足る理由があつて事件につきあらたに裁判を仕直す場合でなければ執行猶豫の言渡をすることはできないのである。