一 被告人の本件所為をもつて法定外文書の頒布に当るとした原判示は正当である。 (原判決の要旨) 二 本件文書(何れもビラ)は横約四〇糎、縦約一二〇糎の白地の洋紙に「期必勝A」と墨書(但し◎及びふりがなは朱書)したもので、文書の外形、内容自体(特に候補者の姓名にふりがなまで附して表示している点)からみて選挙運動に使用するための文書と認めるのが相当である。 三 右の如き文書を作成して作成者以外の者に頒布する行為はそれが特定候補者の選挙運動員に対してなされた場合であつてもその志気を鼓舞激励し、ひいては選挙運動の効果を挙げる目的につながるから公職選挙法第一四二条第一項の禁止に該当する。
公職選挙法第一四二条第一項の法定外文書の頒布にあたる事例
公職選挙法142条1項
判旨
選挙運動のために使用する文書図画が法定の掲示・頒布方法によらない場合、公職選挙法142条1項に違反する法定外文書の頒布にあたる。本判決は、原判決の判断を正当として上告を棄却したものである。
問題の所在(論点)
選挙運動に使用される文書図画が、公職選挙法142条1項の定める制限に適合しない態様で頒布された場合、同条違反の罪が成立するか。
規範
公職選挙法142条1項は、選挙運動のために使用する文書図画の頒布を原則として禁止し、法定の範囲内でのみ認めている。したがって、同条の趣旨に鑑み、法定の態様(通常葉書やビラ等の規定)を逸脱して文書図画を頒布する行為は、同項違反(法定外文書の頒布)を構成する。
重要事実
被告人は、特定の選挙において、選挙運動のために使用する目的で文書を頒布したが、その頒布された文書および頒布の方法は、公職選挙法が許容する文書図画の範囲内には含まれないものであった。原判決は、この被告人の行為を法定外文書の頒布に当たると判断し、有罪とした。被告人側はこれを不服として、事実誤認および判例違反等を理由に上告した。
あてはめ
判決文には具体的な文書の形状や枚数等の詳細は記されていないが、最高裁は、被告人の本件所為をもって「法定外文書の頒布に当るとした原判示は正当である」と判示している。これは、被告人が頒布した文書が、同法で認められた通常葉書やビラ等の種類・規格・数量等の要件を満たしておらず、選挙運動の公正を害する態様で頒布されたことを肯定したものである。したがって、適法な頒布方法を欠く以上、同条違反の成立は免れないと解される。
結論
被告人の行為をもって法定外文書の頒布に当たるとした原判決の判断は正当であり、公職選挙法142条1項違反が成立する。
実務上の射程
選挙運動における文書図画の頒布制限に関する極めて簡潔な判示であるが、法定外文書の該当性判断において原審の認定を維持する姿勢を示している。実務上、選挙運動の自由と公正の要請から、142条の制限を厳格に解釈する際の根拠の一つとして参照し得る。
事件番号: 昭和35(あ)1462 / 裁判年月日: 昭和36年2月2日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法第一四二条は、選挙運動のために使用し頒布し得べき文書として、単に有形的な文書そのものの形式および枚数等を決定したにとどまらず、更にその頒布の方法をも決定したものと解すべきである。 二 公職選挙法第一四二条第二項により正規の表示を受けた選挙用葉書であつても、これを郵送の方法によらないで、例えば通行人に手渡す…