所論号外の内容は、立候補者某は他人の土地を転売し現在裁判沙汰になつており、また女性関係にも兎角の噂があり、町長として不適任である旨を掲載し、その内容自体選挙に関する報道評論というを妨げず、また地元の人は、A候補を指すものであることがわかるというのであるから原審が本件について公職選挙法第二二三条の二第一四八条の二第二四三条第一四八条を適用したのは、正当である。
公職選挙法148条の二にいう「選挙に関する報道及び評論」にあたるとされた事例。
公職選挙法223条の2,公職選挙法148条の2,公職選挙法243条
判旨
選挙に関する報道・評論であっても、特定候補者の不適任を指摘する内容を含み、地元の者が特定の候補者を指すと認識できる配布物は、公職選挙法の規制対象となり得る。
問題の所在(論点)
特定の候補者を指すことが推知できる不適任事実を記載した「号外」の配布が、公職選挙法235条の2(現行148条の2等を含む)の処罰規定に該当するか。
規範
公職選挙法148条の2第1項および235条の2等の規定に関し、新聞や雑誌の号外名義であっても、その内容が特定の候補者の適格性に関する事実を摘示し、かつ読者がその対象となる候補者を特定できる場合には、同法が禁ずる選挙運動または選挙に関する報道・評論の制限規定に抵触する。
重要事実
被告人らは、町長選挙において「号外」と称する文書を配布した。その内容は、立候補者某が他人の土地を転売して訴訟沙汰になっていることや、女性関係に不適切な噂があることを掲げ、町長として不適任であると主張するものであった。地元の住民がこれを読めば、特定の候補者Aを指していることが判別できる状態であった。
あてはめ
本件号外は、立候補者が土地転売問題を抱え町長として不適任である旨を掲載しており、その内容自体が選挙に関する報道・評論の性質を有する。また、具体的な氏名の記載がなくとも、地元の者が候補者Aを指すものであると分かる以上、特定の候補者に関する事項を公衆に知らせる行為に該当する。したがって、原審が公職選挙法の各規定を適用した判断は正当である。
結論
本件配布行為は公職選挙法違反に該当し、被告人らの上告は棄却される。
実務上の射程
選挙運動の自由と報道の自由の限界を示す事例である。新聞の形式を借りていても、実質的に特定候補者を排斥する目的や効果を持つ文書配布は、公職選挙法の規制対象となることを確認した点に意義がある。
事件番号: 昭和29(あ)787 / 裁判年月日: 昭和30年2月16日 / 結論: 棄却
一 新聞の発行、販売者が町長選挙に際し、従来行つていた郵送の方法によらないで特定の候補者の当選に有利な事項を掲載した、その発行にかかる新聞紙数百部を氏名不詳者数名に交付し、町長に頒布させることは、公職選挙法第一四八条第二項にいわゆる新聞紙を通常の方法で頒布したことに当らない。 二 公職選挙法第一四八条第二項は憲法第二一…