一 新聞の発行、販売者が町長選挙に際し、従来行つていた郵送の方法によらないで特定の候補者の当選に有利な事項を掲載した、その発行にかかる新聞紙数百部を氏名不詳者数名に交付し、町長に頒布させることは、公職選挙法第一四八条第二項にいわゆる新聞紙を通常の方法で頒布したことに当らない。 二 公職選挙法第一四八条第二項は憲法第二一条に反しない。
一 新聞紙を通常の方法で頒布したことにならない一事例 二 公職選挙法第一四八条第二項の合憲性
憲法21条,公職選挙法148条2項,公職選挙法248条6号
判旨
公職選挙法148条2項にいう新聞紙等の「通常の方法」による頒布とは、選挙の公正を期するために必要な限度で選挙運動としての使用を規制する趣旨を含む。特定の候補者の当選に有利な事項を掲載した新聞を、選挙当日の路上で不特定の者に手交して頒布させる行為は、これに該当しない。
問題の所在(論点)
特定の候補者に有利な記事を掲載した新聞を、選挙当日の路上で第三者に手交し、町内に頒布させる行為が、公職選挙法148条2項にいう新聞紙等の「通常の方法」による頒布にあたるか。また、これを否定することが憲法21条の表現の自由の保障に違反しないか。
規範
公職選挙法148条2項は、選挙の公正を期するために必要な限度において、新聞紙又は雑誌を選挙運動に使用する方法を規制するものである。同条項にいう「通常の方法」による頒布に該当するか否かは、出版及び表現の自由(憲法21条)の保障を考慮しつつも、当該頒布の態様が選挙の公正を害するおそれのある運動としての性質を有するか否かという観点から判断すべきである。
重要事実
被告人は、昭和27年5月11日施行の町長選挙に際し、候補者Bの当選に有利な事項を掲載した新聞300部を自ら印刷した。そして、選挙当日である同月11日午前8時頃、路上において氏名不詳の3名に対し、当該新聞を手交した。さらに、被告人はこれら3名をして、当該新聞を町内に頒布させた。
あてはめ
本件において、被告人は選挙当日の早朝という極めて象徴的なタイミングで、特定の候補者に有利な内容を含む新聞を路上という公共の場で第三者に手交し、組織的な頒布を指示している。このような態様は、通常の新聞販売や購読を通じた情報伝達の枠を超えており、実質的には選挙運動そのものとして機能している。公職選挙法が選挙の公正を目的として新聞等の使用方法を規制している趣旨に照らせば、本件の頒布方法は「通常の方法」によるものとは認められない。また、この制限は選挙の公正確保という正当な目的のための必要最小限の規制であり、憲法21条に違反するものではない。
結論
被告人の行為は、公職選挙法148条2項にいう「通常の方法」による頒布には該当せず、同法に違反する。また、かかる解釈は憲法21条に違反しない。
実務上の射程
選挙運動の自由と報道・表現の自由の調整が問題となる事案で活用できる。特に「通常の方法」という要件の解釈において、単なる形式的な頒布態様だけでなく、選挙の公正を確保するという目的論的解釈から、運動実態を重視して判断する際の枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和39(あ)2897 / 裁判年月日: 昭和40年6月24日 / 結論: 棄却
所論号外の内容は、立候補者某は他人の土地を転売し現在裁判沙汰になつており、また女性関係にも兎角の噂があり、町長として不適任である旨を掲載し、その内容自体選挙に関する報道評論というを妨げず、また地元の人は、A候補を指すものであることがわかるというのであるから原審が本件について公職選挙法第二二三条の二第一四八条の二第二四三…