判旨
公職選挙法148条2項により、新聞記事を通常の方法によらず頒布する行為を処罰することは、憲法21条の表現の自由を侵害せず合憲である。
問題の所在(論点)
公職選挙法148条2項が、新聞記事の頒布を規制し処罰することが、憲法21条が保障する表現の自由を侵害し違憲ではないか。
規範
公職選挙法148条2項の規定は、表現の自由を保障する憲法21条に違反しない(昭和30年2月16日大法廷判決参照)。選挙の公正を確保するための合理的制限として、新聞等の通常の頒布方法を逸脱する行為に対する規制は容認される。
重要事実
被告人は、特定の新聞記事が掲載された新聞(A新聞)を、通常の方法によらずに頒布した。この行為が公職選挙法148条2項(新聞紙、雑誌の報道及び評論の自由の制限)に抵触するとして起訴された。第一審は有罪、控訴審もこれを支持したため、被告人が憲法21条違反等を理由に上告した。
あてはめ
被告人の行為は、新聞記事を「通常の方法によらず頒布」したものである。憲法21条は表現の自由を保障するが、選挙の公正を害するおそれのある不当な頒布態様までを無制限に保障するものではない。本件における規制は、既判例(昭和30年大法廷判決)の趣旨に照らし、正当な制限の範囲内にある。原判決は記事内容そのものを批判・制限したものではなく、頒布態様の違法性を問うたものであり、憲法違反は認められない。
結論
公職選挙法148条2項は憲法21条に違反しない。したがって、同条項を適用して被告人を処罰した原判決に憲法違反の懈怠はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
選挙運動の公正確保を目的とする「態様の規制」については、表現の自由との関係で比較的広く立法裁量が認められることを示す。論文答案では、表現の自由に対する制約の合憲性を論ずる際、内容規制と内容中立規制(態様規制)を区別し、後者において本判例が示すような選挙の公正という公共の福祉による制限の合理性を肯定する文脈で活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)712 / 裁判年月日: 昭和30年9月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法142条による文書頒布制限は、表現の自由を保障する憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人らが、公職選挙法142条で禁止されている態様により、選挙運動のための文書を頒布したとして、同法243条3号に基づき処罰された事案。被告人側は、同条の規定が憲法21条の表現の自由に反し違憲で…