公職選挙法一四八条二項かっこ書と憲法二一条(合憲)
憲法21条,公選法148条2項かっこ書
判旨
公職選挙法148条2項括弧書の規定は、選挙の公正を確保するために、特定の時期かつ特定の態様に限って新聞等の頒布方法を規制するものであり、憲法21条に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法148条2項括弧書が、特定の時期(選挙運動期間中・当日)における新聞・雑誌の無償頒布を禁止している点は、憲法21条1項の表現の自由に違反し違憲ではないか。
規範
表現の自由を保障する憲法21条との関係において、選挙の公正を確保するための合理的かつ必要最小限度の制限であれば、表現の自由に対する制約も許容される。特に、選挙運動の期間中及び選挙の当日という「特定の時期」に限り、かつ「無償」という「特定の態様」による頒布方法を規制することは、憲法の許容する範囲内の制限である。
重要事実
被告人らは、選挙運動の期間中または選挙当日に、無償で新聞紙又は雑誌を頒布した。これが公職選挙法148条2項括弧書(新聞紙、雑誌の編集及び報道の自由の制限)に抵触するとして起訴された。弁護人は、同条項が憲法21条の保障する表現の自由に違反すると主張して上告した。
あてはめ
公職選挙法148条2項括弧書の規定は、無制限な表現の制約を課すものではない。第一に、規制対象となる時期は「選挙運動の期間中及び選挙の当日」という極めて限定的な特定の時期に絞られている。第二に、規制対象となる態様は「無償」での頒布という特定の態様に限られている。このような限定的な規制は、選挙の公正を確保するという正当な目的のための必要最小限度の制約といえ、表現の自由の本質を侵害するものとは評価されない。
結論
公職選挙法148条2項括弧書の規定は、憲法21条に違反しない。
実務上の射程
選挙の公正確保を目的とする表現の自由の制限に関するリーディングケース(昭和30年大法廷判決)を再確認したもの。特定の時期・特定の態様に限定された形式的規制であれば、内容規制に近い側面があっても合憲性が認められやすいことを示唆している。答案上は、選挙運動規制の合憲性判定において、規制の「期間」と「方法」の限定性を指摘する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)1858 / 裁判年月日: 昭和31年2月16日 / 結論: 棄却
公職選挙法第一四八条の二、同第二二三条の二は憲法第二一条第一項に違反しない。