判旨
刑事訴訟法501条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が不明瞭で解釈に疑義がある場合を指し、上告棄却の決定をした最高裁判所は同条の「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法501条の「裁判の解釈について疑があるとき」の意義、および上告棄却決定を行った最高裁判所が同条にいう「刑の言渡をした裁判所」に該当するか。
規範
1. 刑事訴訟法501条の「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈につき疑義がある場合をいう。2. 同条に規定する「刑の言渡をした裁判所」には、被告人の上告を棄却した最高裁判所は含まれない。
重要事実
申立人は、最高裁判所が下した上告棄却決定に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の解釈を求める申立てを行った。申立の具体的な理由は不明であるが、申立人は最高裁判所を「刑の言渡をした裁判所」と捉え、主文の解釈に疑義があるとして救済を求めた事案である。
あてはめ
1. 本件申立理由は、判決主文の趣旨が不明瞭であることによる疑義を指摘するものではなく、同条の想定する事由に該当しない。2. そもそも刑事訴訟法501条は「刑の言渡をした裁判所」に対して申立てを行うべきものであるが、最高裁判所が上告を棄却した場合は、原判決(有罪判決)を確定させるに留まり、自ら刑を言い渡したわけではない。したがって、最高裁判所は「刑の言渡をした裁判所」とはいえず、本件申立ては管轄違いとして不適法である。
結論
本件申立ては不適法であり、棄却すべきである。
実務上の射程
刑事手続の執行段階における救済手段としての裁判解釈申立(刑訴法501条)の適用限界を画した。主文自体の多義性が要求される点、および上告棄却の裁判所ではなく事実上の刑の言渡しを行った裁判所を対象とすべき点を明確にしており、執行の適法性争議(502条)との使い分けにおいて重要となる。
事件番号: 昭和30(す)238 / 裁判年月日: 昭和30年8月18日 / 結論: 棄却
刑訴五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、裁判の主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈につき疑義がある場合のことで、被告人の上告を棄却した本件はかような疑義なきこと明瞭であるのみでなく、刑訴法にいう刑の言渡をした裁判所ともいえないから、右いずれの点からも本件申立は不適法で棄却すべきものである。
事件番号: 昭和37(し)30 / 裁判年月日: 昭和37年11月20日 / 結論: 棄却
刑訴五〇一条の「裁判の解釈について疑があるとき」とは確定裁判の主文の趣旨について疑がある場合をいう。
事件番号: 昭和28(す)634 / 裁判年月日: 昭和29年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に基づく裁判の解釈を求める申立ては、刑の言渡しをした裁判に対してのみ許される。上告棄却の決定は、刑を言い渡した裁判には当たらないため、これに対する同条の申立ては不適法である。 第1 事案の概要:被告人(申立人)は、最高裁判所が自らの上告を棄却した決定に対し、その解釈を求めるべく、…
事件番号: 昭和42(す)179 / 裁判年月日: 昭和42年7月4日 / 結論: 棄却
一 刑訴法第五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、刑の言渡をした判決の主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈について疑義がある場合をいう。 二 上告を棄却した最高裁判所は、同条にいう「刑の言渡をした裁判所」ではない。