判旨
特別抗告の理由として違憲を主張していても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、特別抗告の適法な理由には当たらない。
問題の所在(論点)
特別抗告において「憲法違反」が主張されているものの、その実質が「自己又は代人の責に帰することができない事由」(刑事訴訟法362条)の有無という単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合、特別抗告の適法な理由として認められるか。
規範
特別抗告(刑事訴訟法433条)が認められるためには、憲法違反または憲法解釈の誤りがあることが必要である。形式的に憲法違反を主張していても、その実質が単なる法律違反(訴訟法違反)の主張に帰着する場合には、特別抗告の適法な理由とは認められない。
重要事実
抗告申立人Aが、自己または代人の責めに帰することができない事由によって上訴期間内に上訴できなかったと主張し、憲法違反を理由に特別抗告を申し立てた事案である。しかし、その主張の具体的内容は、上訴権回復の要件に関する事実誤認や判断の不当を訴えるものであった。
あてはめ
申立人は違憲を主張するが、その実質は、被告人側に帰責事由がないにもかかわらず上訴できなかったという点に集約される。これは刑事訴訟法が定める上訴権回復の要件に関する不服申し立てであり、最高裁判所が判断すべき憲法上の問題を含まない。したがって、形式的な違憲の主張はあっても、実質的には単なる訴訟法違反の主張にすぎないといえる。
結論
本件特別抗告は適法な理由を欠くため、棄却されるべきである。
実務上の射程
特別抗告における「違憲」の主張が、単なる法律解釈や事実認定の不当をすり替えたものである場合に、門前払い(棄却)するための根拠として活用できる。答案上は、特別抗告の適法性を検討する際、主張の内容が実質的に憲法問題に至っているかを峻別する基準となる。
事件番号: 昭和28(し)10 / 裁判年月日: 昭和28年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条の裁判を受ける権利の侵害を主張しても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、刑訴法405条の特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、憲法32条(裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた事案。しかし、その主張の具体的な内容は、原審の…
事件番号: 昭和30(し)5 / 裁判年月日: 昭和30年2月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上訴権回復の申立てにおいて、被告人が現実に判決の言渡しを知り得なかったとしても、それが被告人やその代理人の責めに帰すべき事由によらないものでない限り、上訴権を回復することはできない。 第1 事案の概要:抗告人は、被告人が刑の言渡しを現実に知り得なかったことについて、被告人及びその代理人の責めに帰す…
事件番号: 平成9(し)145 / 裁判年月日: 平成9年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、単なる法令違反、事実誤認、または処分の不当を理由とする主張は、同条が定める抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し、法令違反、事実誤認、および処分の不当を主張して刑事訴訟法433条に基づく特別抗告を提起した。 第2 問題の所在(…
事件番号: 昭和36(し)22 / 裁判年月日: 昭和36年6月7日 / 結論: 棄却
刑訴第三六二条が代人の過失によつて上訴期間を徒過した場合上訴権回復の請求権がないものとしたのは、違憲でない。
事件番号: 昭和28(し)75 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、裁判所法7条2号に基づき、法律が特に最高裁判所に対して抗告を申し立てることができる旨を定めている場合に限り裁判権を有する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、当該抗告は刑訴応急措置法18条に規定する場合に該当せず、また、他に最高裁判所への申し立…