判旨
憲法32条の裁判を受ける権利の侵害を主張しても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、刑訴法405条の特別抗告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
訴訟法違反を実質的な内容とする主張を、憲法32条違反として刑訴法405条所定の特別抗告理由とすることができるか。
規範
特別抗告の事由(刑訴法405条)として憲法違反を主張する場合、形式的に憲法の条項を引用するだけでは足りず、実質的にも憲法問題を含んでいる必要がある。単なる訴訟法違反の主張を憲法違反に擬称することは許されない。
重要事実
被告人が原判決に対し、憲法32条(裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた事案。しかし、その主張の具体的な内容は、原審の訴訟手続に法令違反があるという点に帰着するものであった。
あてはめ
本件において、所論は憲法32条違反をいうが、その実質は訴訟法違反の主張である。原判決は適法な訴訟手続に従って裁判を行っており、被告人が裁判所の裁判を拒否された事実は認められない。したがって、憲法違反という主張は前提を欠いており、実質的には単なる法律判断の誤りや手続違背を指摘するものにすぎないといえる。
結論
本件特別抗告は刑訴法405条の事由に当たらないため、不適法として棄却される。
実務上の射程
特別抗告や上告において、憲法違反を形式的に主張しても、それが実質的に訴訟法違反や事実誤認の主張にすぎない場合には適法な不服申立理由にならないという「憲法違反の擬装」を排除する実務上の運用を裏付ける判例である。
事件番号: 昭和28(し)20 / 裁判年月日: 昭和28年3月24日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上訴権回復の請求が認められるためには、被告人が自ら上訴手続をとり得ない程度の病状等にあることを要し、単なる病状の存在のみでは足りない。 第1 事案の概要:被告人は、上告提起期間内に上告手続をとらなかった。その後、当時の病状により手続が不可能であったとして上訴権回復の請求を申し立てた。原審は、被告人…
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事件番号: 昭和24(つ)96 / 裁判年月日: 昭和25年4月21日 / 結論: 棄却
舊刑訴法第三八七條が代人の過失によつて上訴期間を徒過した場合上訴權回復の請求權なきものとしたのは違憲ではない。
事件番号: 昭和38(し)38 / 裁判年月日: 昭和38年10月8日 / 結論: 棄却
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