判旨
告訴状が受理された場合において、捜査機関が速やかに検察官へ送付する手続を怠ったという事実が認められない限り、裁判を受ける権利(憲法32条)への侵害は認められない。また、審判請求の手続において請求者の意見を徴さなくても、適法な手続として認められる。
問題の所在(論点)
1. 告訴状の送付手続を放置することが憲法32条に違反するか。 2. 審判請求において、請求人の意見を聴取しないことが憲法14条、32条等に違反するか。
規範
刑事手続における適正な手続の保障に関し、告訴状の送付手続の遅滞が憲法32条に違反するか否かは、具体的な事実関係に基づき不当な放置があるか否かによって判断される。また、裁判所の審判手続において、請求者の意見聴取が必須とされるか否かは、個別の手続規定に委ねられ、意見聴取を行わないことが直ちに憲法違反となるものではない。
重要事実
抗告人は、昭和37年6月12日付で提出した告訴状を被告訴人らが無期限に放置し、検察官への送付手続を行わなかったとして憲法32条違反等を主張した。さらに、審判請求の手続において、請求者である抗告人の意見を聴取しなかったことが憲法14条、32条に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
1. 抗告人が主張する「告訴状を無期限に放置して検察官に送付する手続をしなかった」という事実は、原決定の説示によれば認められない。したがって、違憲の前提となる事実を欠いている。 2. 審判請求につき、請求者である抗告人の意見を徴しなかったとしても、その措置は何ら違法ではない。憲法上の権利を侵害するものとはいえず、単なる訴訟法違反の主張にすぎない。
結論
告訴状の放置事実は認められず、また審判請求での意見聴取を省略することも違法ではないため、本件特別抗告は棄却される。
事件番号: 昭和58(し)78 / 裁判年月日: 昭和58年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告が原決定に対する不服を内容とするものでない場合には、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件に関して東京高等裁判所が下した抗告棄却決定に対し、最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。しかし、その申立ての内容は、当該抗告棄却決定(原決定)に対する具体的な不服を内容とする…
実務上の射程
告訴手続や審判手続における捜査機関・裁判所の裁量、および意見陳述の要否に関する判例である。答案上は、告訴状の送付遅滞が問題となる場面や、不服申立手続における意見陳述権の限界を論ずる際の参照指標となるが、憲法違反と認められるためのハードルは高いことを示唆している。
事件番号: 昭和38(し)42 / 裁判年月日: 昭和38年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求書においては、裁判所の審判に付せられるべき犯罪事実を具体的に明示し、かつその事実を裏付ける証拠を記載しなければならない。これらの記載を欠く付審判請求は不適法であり、棄却を免れない。 第1 事案の概要:申立人が、刑事訴訟法262条に基づき付審判請求を行った。しかし、当該請求書には裁判所の審…
事件番号: 昭和48(し)61 / 裁判年月日: 昭和48年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法428条2項および3項の適用はなく、異議の申立てをすることはできない。不適法な異議申立ての棄却決定に対する特別抗告は、実質において事実誤認や単なる法令違反を主張するものである限り、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人は、地方裁判所…
事件番号: 昭和48(し)10 / 裁判年月日: 昭和48年3月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告の提起は、法律の定める提起期間内に正当な権限を有する原裁判所に申立書を差し出す必要があり、誤って管轄外の裁判所に差し出された場合は、期間内に原裁判所に到達しない限り不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は、昭和48年1月29日に札幌高等裁判所の原決定謄本の送達を受けた。特別抗告の提起期限…
事件番号: 昭和28(し)10 / 裁判年月日: 昭和28年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条の裁判を受ける権利の侵害を主張しても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、刑訴法405条の特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、憲法32条(裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた事案。しかし、その主張の具体的な内容は、原審の…