不適法な不服申立を「理由なし」として棄却した決定に対する特別抗告の処理
判旨
高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法428条2項および3項の適用はなく、異議の申立てをすることはできない。不適法な異議申立ての棄却決定に対する特別抗告は、実質において事実誤認や単なる法令違反を主張するものである限り、不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
高等裁判所が抗告審として行った決定に対し、刑事訴訟法428条2項・3項に基づく異議の申立てをすることができるか。また、不適法な異議申立てに対する棄却決定に対し、事実誤認等を理由に特別抗告をすることの適否。
規範
刑事訴訟法428条2項および3項は、地方裁判所がした決定に対する不服申立ての特則であり、高等裁判所が抗告審として(第二次的に)下した決定に対しては適用されない。したがって、当該決定に対して同条に基づく異議を申し立てることは法的に許容されない。
重要事実
申立人は、地方裁判所の支部が行った付審判請求棄却決定に対し、大阪高等裁判所に抗告した。同高裁が昭和48年6月5日に抗告棄却決定を下すと、申立人はさらに同高裁に対し、刑訴法428条2項等を根拠とした異議を申し立てた。同高裁は同年7月3日に異議を理由がないとして棄却したため、申立人はこの棄却決定を対象として最高裁判所に特別抗告を提起した。
あてはめ
本件では、大阪高等裁判所の決定は抗告審としてなされたものである。刑訴法428条2項・3項は高等裁判所が抗告審としてした決定には適用されないため、申立人が行った異議申立て自体がそもそも法律上認められない不適法なものであったといえる。そのような不適法な手続を前提とし、かつ、特別抗告の理由として認められない事実誤認や単なる法令違反を主張する本件申立ては、適法な不服申立てとしての要件を欠く。
結論
事件番号: 昭和58(し)78 / 裁判年月日: 昭和58年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告が原決定に対する不服を内容とするものでない場合には、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件に関して東京高等裁判所が下した抗告棄却決定に対し、最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。しかし、その申立ての内容は、当該抗告棄却決定(原決定)に対する具体的な不服を内容とする…
本件特別抗告は不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
付審判手続等の抗告審決定に対する不服申立ての可否を検討する際に用いる。高裁の抗告審決定に対する不服申立ては、憲法違反や判例抵触を理由とする特別抗告(刑訴法433条)に限定され、地裁決定等に認められるような異議申立ての余地はないことを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和33(し)57 / 裁判年月日: 昭和33年8月28日 / 結論: 棄却
高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては刑訴法第四二七条によつて再抗告ができないのであるから、同四二八条二項三項は適用の余地がない。
事件番号: 昭和42(し)40 / 裁判年月日: 昭和42年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的申判請求(付記:検察審査会法上の用語との混同を避けるため、通常は「付審判請求」と称される)を棄却する決定に対して、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは、刑事訴訟法433条の要件を備えず不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旭川警察署の氏名不詳の警察官による特別公務員暴行の事実につ…
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…
事件番号: 昭和50(し)38 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は、対象となる決定等に対して他に不服申立ての手段がない場合に限り許容される。高等裁判所への通常抗告が可能な決定に対し、これを経ずに直接最高裁判所へ抗告することは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、原決定(詳細は判決文からは不明)に対し、刑事訴…