特別抗告が提起期間経過後に申し立てられたものとして不適法とされた事例
判旨
特別抗告の提起は、法律の定める提起期間内に正当な権限を有する原裁判所に申立書を差し出す必要があり、誤って管轄外の裁判所に差し出された場合は、期間内に原裁判所に到達しない限り不適法となる。
問題の所在(論点)
特別抗告において、申立書を提起期間内に誤って管轄外の裁判所に差し出し、期間経過後に原裁判所に到達した場合、当該申立ては適法といえるか。刑訴法423条1項の「原裁判所」への提出要件の厳格性が問題となる。
規範
特別抗告の提起期間は、原決定の送達を受けた日から5日以内であり(刑訴法433条2項)、申立書は原裁判所に差し出さなければならない(同法434条、423条1項)。期間内に正当な管轄を有する原裁判所に申立書が到達しない限り、不適法な申立てとして棄却を免れない。
重要事実
申立人は、昭和48年1月29日に札幌高等裁判所の原決定謄本の送達を受けた。特別抗告の提起期限は同年2月3日であったが、申立人は同日に誤って旭川地方裁判所へ申立書を差し出した。その後、申立書は同月6日に札幌高等裁判所に回送・到達した。
あてはめ
本件において、提起期限は1月29日から5日後の2月3日である。申立人は期限内である2月3日に旭川地裁へ書面を差し出しているが、旭川地裁は原裁判所(札幌高裁)ではない。札幌高裁に書面が到達したのは期限経過後の2月6日である。したがって、管轄のある裁判所への適法な提出があったのは期間経過後であると評価される。
結論
本件特別抗告は提起期間経過後に申し立てられたものであり、不適法であるとして棄却される。
事件番号: 昭和58(し)78 / 裁判年月日: 昭和58年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告が原決定に対する不服を内容とするものでない場合には、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件に関して東京高等裁判所が下した抗告棄却決定に対し、最高裁判所へ特別抗告を申し立てた。しかし、その申立ての内容は、当該抗告棄却決定(原決定)に対する具体的な不服を内容とする…
実務上の射程
上訴や抗告の申立てにおいて、提出先裁判所の誤りは致命的な欠陥となる。刑訴法423条1項の準用により、原裁判所への差出しが期間内になされる必要があることを示す判例であり、実務上、管轄の確認が期間遵守と並んで極めて重要であることを強調する射程を持つ。
事件番号: 昭和56(し)52 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の特別抗告において、在監者が上訴申立書を監獄の長又はその代理者に差し出した時に上訴の提起があったものとみなす刑事訴訟法366条1項(在監者特則)は、準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:申立人は付審判請求事件の特別抗告を申し立てようとした在監者である。抗告期間の最終日である…
事件番号: 昭和48(し)61 / 裁判年月日: 昭和48年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法428条2項および3項の適用はなく、異議の申立てをすることはできない。不適法な異議申立ての棄却決定に対する特別抗告は、実質において事実誤認や単なる法令違反を主張するものである限り、不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人は、地方裁判所…
事件番号: 昭和38(し)38 / 裁判年月日: 昭和38年10月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】告訴状が受理された場合において、捜査機関が速やかに検察官へ送付する手続を怠ったという事実が認められない限り、裁判を受ける権利(憲法32条)への侵害は認められない。また、審判請求の手続において請求者の意見を徴さなくても、適法な手続として認められる。 第1 事案の概要:抗告人は、昭和37年6月12日付…
事件番号: 昭和42(し)40 / 裁判年月日: 昭和42年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的申判請求(付記:検察審査会法上の用語との混同を避けるため、通常は「付審判請求」と称される)を棄却する決定に対して、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは、刑事訴訟法433条の要件を備えず不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旭川警察署の氏名不詳の警察官による特別公務員暴行の事実につ…