刑訴法四一九条の規定違憲(憲法三二条違反)の主張が「欠前提」とされた事例
憲法32条,刑訴法419条
判旨
裁判所書記官が行う書類の送達手続に対し、独立した不服申立てを認めるか否かは立法政策の問題に帰する。したがって、刑訴法419条が裁判所書記官の処分に対する不服申立てを制限しているとしても、憲法32条に違反するものではない。
問題の所在(論点)
裁判所書記官の送達手続について独立した不服申立てを認めない刑事訴訟法の仕組み(419条参照)が、憲法32条の保障する「裁判を受ける権利」を侵害し違憲となるか。
規範
特定の訴訟手続上の行為(特に裁判所書記官による送達手続等)について、独立して不服申立てを認める制度を設けるか否かは、専ら立法政策の裁量に委ねられる事項である。
重要事実
抗告人が、裁判所書記官の行う書類の送達手続について不服を申し立てた。抗告人は、刑事訴訟法419条(裁判所の決定に対する抗告)が書記官の処分を対象としていない点について、裁判を受ける権利を保障する憲法32条に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
書類の送達という事務的・付随的な手続において、どの範囲で不服申立てを許容するかは、訴訟経済や手続の安定性を考慮して立法府が決定すべき事項である。本件において、書記官の送達手続に対し独立の不服申立てを認めないことは、立法府に与えられた政策的裁量の範囲内といえる。したがって、当該制度の欠如を理由とする違憲の主張は、前提を欠くものと評価される。
事件番号: 昭和54(し)90 / 裁判年月日: 昭和54年9月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所の発する書類の送達に関する方法、要件、効果の定めは、憲法32条が保障する裁判を受ける権利の具体化として、専ら立法政策に委ねられた事項である。 第1 事案の概要:刑事手続において、裁判所の発する書類の送達がなされたが、抗告人は刑訴法54条により準用される民訴法173条(当時の規定。現行の郵便送…
結論
本件抗告を棄却する。裁判所書記官の送達手続に対する不服申立ての可否は立法政策の問題であり、憲法32条違反にはあたらない。
実務上の射程
刑事訴訟における裁判所書記官の処分(送達等)の効力争いにおいて、直接の抗告が制限されていることの合憲性を基礎づける際に引用する。訴訟手続の不服申立制度の設計が立法政策に委ねられていることを示す一般論としても活用できる。
事件番号: 昭和28(し)10 / 裁判年月日: 昭和28年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条の裁判を受ける権利の侵害を主張しても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、刑訴法405条の特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、憲法32条(裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた事案。しかし、その主張の具体的な内容は、原審の…
事件番号: 昭和45(し)83 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件において、第一審が確定した事実関係に基づき公務員職権濫用罪が成立しないと判断したことは正当であり、憲法違反等の主張は特別抗告の適法な理由にならない。 第1 事案の概要:本件は付審判請求事件である。第一審において、被請求人らによる公務員職権濫用罪の成立を否定する決定がなされた。これに対…
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和54(し)88 / 裁判年月日: 昭和54年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】在監者が付審判請求事件の決定に対して特別抗告を申し立てる場合、刑事訴訟法366条1項(特則としての在監者主義)は準用ないし類推適用されない。したがって、抗告期間内に申立書を監獄官吏に提出しても、期間内に裁判所に受理されなければ申立ては不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件の決定…