刑事手続に準用される民訴法一七三条の規定違憲(憲法三二条違反)の主張が「欠前提」とされた事例
憲法32条,民訴法173条
判旨
裁判所の発する書類の送達に関する方法、要件、効果の定めは、憲法32条が保障する裁判を受ける権利の具体化として、専ら立法政策に委ねられた事項である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法54条を通じて刑事手続に準用される民事訴訟法の送達に関する規定が、憲法32条に違反し違憲となるか。
規範
裁判所の発する書類の送達の方法、要件、効果などをどのように定めるかは、憲法上の適否の問題ではなく、もっぱら立法政策の問題として立法府の裁量に委ねられる。
重要事実
刑事手続において、裁判所の発する書類の送達がなされたが、抗告人は刑訴法54条により準用される民訴法173条(当時の規定。現行の郵便送達等に関する規定に相当)に基づく送達制度が、憲法32条の裁判を受ける権利に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
憲法32条は裁判を受ける権利を保障しているが、その手続的細目である書類の送達制度は、適正な裁判の実現と手続の円滑な進行を計量して定められるべきものである。したがって、送達の具体的な要件や効果の設計は、立法府の広範な裁量に属する「立法政策の問題」といえる。本件の準用規定も、かかる政策的判断の範囲内であり、憲法に抵触するものではないと解される。
事件番号: 昭和54(し)89 / 裁判年月日: 昭和54年9月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所書記官が行う書類の送達手続に対し、独立した不服申立てを認めるか否かは立法政策の問題に帰する。したがって、刑訴法419条が裁判所書記官の処分に対する不服申立てを制限しているとしても、憲法32条に違反するものではない。 第1 事案の概要:抗告人が、裁判所書記官の行う書類の送達手続について不服を申…
結論
送達に関する規定の定めは立法政策の問題であり、憲法32条に違反しない。本件抗告は棄却される。
実務上の射程
刑事手続・民事手続を問わず、送達等の訴訟手続上の形式的要件に関する規定の合憲性が争われた際、それが憲法32条の核心に触れない限り、立法政策の問題として広く裁量を認める判例として活用できる。
事件番号: 昭和54(し)88 / 裁判年月日: 昭和54年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】在監者が付審判請求事件の決定に対して特別抗告を申し立てる場合、刑事訴訟法366条1項(特則としての在監者主義)は準用ないし類推適用されない。したがって、抗告期間内に申立書を監獄官吏に提出しても、期間内に裁判所に受理されなければ申立ては不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件の決定…
事件番号: 昭和45(し)83 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件において、第一審が確定した事実関係に基づき公務員職権濫用罪が成立しないと判断したことは正当であり、憲法違反等の主張は特別抗告の適法な理由にならない。 第1 事案の概要:本件は付審判請求事件である。第一審において、被請求人らによる公務員職権濫用罪の成立を否定する決定がなされた。これに対…
事件番号: 昭和27(し)90 / 裁判年月日: 昭和28年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】送達報告書により控訴趣意書提出最終日の通知書が適法に送達された事実が認められる場合、通知を受けていないことを前提とする憲法32条違反の主張は採用されない。 第1 事案の概要:申立人は、麻薬取締法違反等被告事件において、控訴趣意書の提出最終日の通知書を受け取っていないと主張し、裁判を受ける権利(憲法…
事件番号: 昭和44(し)75 / 裁判年月日: 昭和44年11月17日 / 結論: 棄却
刑訴法二六二条の付審判請求は、同条に定める七日の期間内に、請求書が検察官に到達したときに効力を生ずる。