判旨
付審判請求事件において、第一審が確定した事実関係に基づき公務員職権濫用罪が成立しないと判断したことは正当であり、憲法違反等の主張は特別抗告の適法な理由にならない。
問題の所在(論点)
付審判請求棄却決定に対する特別抗告において、実体法上の罪の成否に関する判断が正当である場合に、憲法違反の主張が抗告理由として認められるか。
規範
特別抗告の適法な理由となるには、憲法違反や判例違反の主張が裁判の結論に影響を及ぼすものでなければならない。付審判請求棄却決定に対する抗告棄却決定の当否は、第一審が認定した事実関係に基づき、対象となる公務員に公務員職権濫用罪(刑法193条)が成立するか否かによって判断される。
重要事実
本件は付審判請求事件である。第一審において、被請求人らによる公務員職権濫用罪の成立を否定する決定がなされた。これに対し、抗告人が憲法32条(裁判を受ける権利)および99条(憲法尊重擁護義務)違反を理由として特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
第一審の決定によって確定した事実関係を前提とする限り、被請求人らに公務員職権濫用罪は成立しない。この原判示(原決定)の判断は正当である。そうである以上、抗告人が主張する憲法32条・99条違反の論旨は、本件付審判請求を棄却した決定に対する抗告棄却決定の当否に影響を及ぼすものではないといえる。
結論
本件抗告を棄却する。憲法違反の主張は、本件付審判請求棄却決定の当否に影響しないため、特別抗告の適法な理由には当たらない。
実務上の射程
刑事訴訟法上の付審判制度(準起訴手続き)において、裁判所が罪の成否を判断する際の事実認定の重要性を示している。答案上は、特別抗告の理由(刑訴法433条)を論じる際に、憲法違反の主張があっても実体判断に影響しない場合には棄却されるべきことの根拠として利用できる。
事件番号: 昭和43(し)25 / 裁判年月日: 昭和43年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、原決定のいかなる点がどのように憲法条項に違反するかを具体的に主張しなければならず、抽象的な主張に留まるものは適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、自身が告訴した公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不…
事件番号: 昭和45(し)89 / 裁判年月日: 昭和45年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法433条に基づく特別抗告において、実質的に原決定の不当を主張するにとどまり、憲法違反の具体的根拠を示さないものは、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、被疑者らに対する公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不起訴処分を不服として付審判請求を行った。第一審及び抗告審が…
事件番号: 昭和55(し)141 / 裁判年月日: 昭和55年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定が確定した後になされた特別抗告は、不服申立の利益を欠く不適法なものである。 第1 事案の概要:申立人は付審判請求を行ったが、昭和55年2月19日に旭川地方裁判所が請求棄却の決定をした。これに対し申立人が抗告したが、同年4月3日に札幌高等裁判所が抗告を棄却した。この抗告棄却決…
事件番号: 昭和45(し)99 / 裁判年月日: 昭和45年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の申立棄却決定に対する特別抗告において、在監者が抗告期間内に申立書を監獄の長等に差し出したとしても、刑事訴訟法366条1項のいわゆる在監者特則は準用ないし類推適用されない。 第1 事案の概要:付審判請求を行った申立人は、その請求を棄却する決定を受けたため、特別抗告を申し立てようとした…
事件番号: 昭和52(し)105 / 裁判年月日: 昭和52年8月25日 / 結論: 棄却
いわゆる付審判の決定に対する特別抗告の申立は、不適法である。