判旨
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、原決定のいかなる点がどのように憲法条項に違反するかを具体的に主張しなければならず、抽象的な主張に留まるものは適法な抗告理由にあたらない。
問題の所在(論点)
付審判請求の棄却決定に対する特別抗告において、具体的な違反事由を摘示せずに憲法違反を抽象的に主張することが、刑訴法433条の抗告理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法433条1項の特別抗告の理由として憲法違反を主張する場合、単に抽象的に憲法条項を列挙するだけでは足りず、原決定の具体的な判断内容がどのように憲法条項に抵触するかを具体的に摘示しなければならない。
重要事実
申立人は、自身が告訴した公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不起訴処分、およびこれに対する付審判請求を棄却した第一審・原審の決定を不服として特別抗告を申し立てた。申立人は、原決定に憲法12条、16条、29条1項、32条の違反があると主張した。
あてはめ
申立人の主張は、実質的には検察官の不起訴処分や裁判所の付審判請求棄却決定が不当であると争うものにすぎない。憲法違反の主張についても、条項を抽象的に挙げるのみで、原決定のどの点がどのように右条項に違反するのかを具体的に説明していない。したがって、刑事訴訟規則等に照らしても、具体的な憲法違反の主張としての要件を欠いているといえる。
結論
本件抗告は、刑訴法433条所定の抗告理由にあたらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
特別抗告の不適法却下(棄却)に関する実務上の運用を再確認する事例。答案上は、不服申立の理由が実質的に単なる事実誤認や不当を主張するものである場合、憲法違反の形式を借りたとしても、具体的指摘がない限り適法な理由にならないことを示す際に参照しうる。
事件番号: 昭和45(し)89 / 裁判年月日: 昭和45年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法433条に基づく特別抗告において、実質的に原決定の不当を主張するにとどまり、憲法違反の具体的根拠を示さないものは、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、被疑者らに対する公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不起訴処分を不服として付審判請求を行った。第一審及び抗告審が…
事件番号: 昭和53(し)43 / 裁判年月日: 昭和53年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において、抗告申立書に具体的な理由の記載がなく、かつ抗告期間内に理由書が提出されない場合には、申立は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人らは、原決定に対し特別抗告を申し立てた。申立書には「抗告理由の詳細は近く抗告理由書を提出するが、要するに刑訴法405条、411条所定事由を理…
事件番号: 昭和45(し)83 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件において、第一審が確定した事実関係に基づき公務員職権濫用罪が成立しないと判断したことは正当であり、憲法違反等の主張は特別抗告の適法な理由にならない。 第1 事案の概要:本件は付審判請求事件である。第一審において、被請求人らによる公務員職権濫用罪の成立を否定する決定がなされた。これに対…
事件番号: 昭和43(し)45 / 裁判年月日: 昭和43年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告(刑訴法433条)が許容されるのは、その対象である決定または命令に対し、刑事訴訟法上他に不服を申し立てることができない場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能であった。しかし…
事件番号: 昭和42(し)40 / 裁判年月日: 昭和42年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的申判請求(付記:検察審査会法上の用語との混同を避けるため、通常は「付審判請求」と称される)を棄却する決定に対して、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは、刑事訴訟法433条の要件を備えず不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旭川警察署の氏名不詳の警察官による特別公務員暴行の事実につ…