判旨
刑訴法433条に基づく特別抗告において、実質的に原決定の不当を主張するにとどまり、憲法違反の具体的根拠を示さないものは、適法な抗告理由にあたらない。
問題の所在(論点)
刑訴法433条の特別抗告において、具体的な憲法違反の主張を欠き、実質的に原決定の不当を争う主張が適法な抗告理由となるか。
規範
刑訴法433条柱書が規定する特別抗告の事由は、憲法違反又は判例違反に限定される。単なる不起訴処分や裁判所の判断に対する不服等の実質的不当の主張は、憲法条項を援用していても、具体的根拠を欠く場合には同条の抗告理由を構成しない。
重要事実
申立人は、被疑者らに対する公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不起訴処分を不服として付審判請求を行った。第一審及び抗告審がこれを排斥し、原決定も抗告審決定に対する異議申立てを棄却したため、憲法11条、14条、97条違反を理由に特別抗告を申し立てた。
あてはめ
申立人は、憲法11条等の条項を挙げているが、その実質的な内容は不起訴処分の不当性や付審判請求を排斥した裁判の不服を述べるに過ぎない。原決定のどの点がどのように憲法に違反するかを具体的に主張していない。したがって、形式的に憲法条項を援用していても、実質的には単なる不当を主張するものであると判断される。
結論
本件抗告は刑訴法433条の抗告理由にあたらないため、棄却されるべきである。
実務上の射程
特別抗告の理由を「憲法違反」とする場合、単なる結果の不当性ではなく、原決定の法的構成と憲法との抵触関係を具体的に明示する必要があることを示す。答案上、上訴理由の適法性を論じる際の最小限の基準として参照される。
事件番号: 昭和43(し)25 / 裁判年月日: 昭和43年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、原決定のいかなる点がどのように憲法条項に違反するかを具体的に主張しなければならず、抽象的な主張に留まるものは適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、自身が告訴した公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不…
事件番号: 昭和45(し)83 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件において、第一審が確定した事実関係に基づき公務員職権濫用罪が成立しないと判断したことは正当であり、憲法違反等の主張は特別抗告の適法な理由にならない。 第1 事案の概要:本件は付審判請求事件である。第一審において、被請求人らによる公務員職権濫用罪の成立を否定する決定がなされた。これに対…
事件番号: 昭和53(し)43 / 裁判年月日: 昭和53年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において、抗告申立書に具体的な理由の記載がなく、かつ抗告期間内に理由書が提出されない場合には、申立は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人らは、原決定に対し特別抗告を申し立てた。申立書には「抗告理由の詳細は近く抗告理由書を提出するが、要するに刑訴法405条、411条所定事由を理…
事件番号: 昭和43(し)45 / 裁判年月日: 昭和43年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告(刑訴法433条)が許容されるのは、その対象である決定または命令に対し、刑事訴訟法上他に不服を申し立てることができない場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能であった。しかし…
事件番号: 昭和43(し)85 / 裁判年月日: 昭和43年11月13日 / 結論: 棄却
在監者の上訴申立に関する刑訴法第三六六条第一項は、いわゆる審判請求事件についてされた抗告棄却の決定に対し、右請求をした在監者が特別抗告の申立書を差し出す場合には準用ないし類推適用されないものと解すべきである。