いわゆる付審判の決定に対する特別抗告の申立は、不適法である。
いわゆる付審判の決定に対する特別抗告申立の適否
刑訴法266条2号,刑訴法433条
判旨
付審判決定(刑訴法266条2号)は、審判に付された被告事件の訴訟手続においてその瑕疵を主張し得るため、刑訴法433条にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。
問題の所在(論点)
検察審査会の強制起訴に相当する準起訴手続としての「付審判決定」に対し、刑訴法433条に基づく特別抗告を行うことができるか。当該決定が「不服を申し立てることができない決定」に該当するかが問題となる。
規範
刑訴法433条1項の特別抗告が認められるためには、当該決定が「この法律により不服を申し立てることができない決定」であることが必要である。この点、決定の瑕疵を後の訴訟手続において主張する機会が保障されている場合には、独立した不服申立てを認める必要性に乏しいため、同条の「不服を申し立てることができない決定」には当たらないと解すべきである。
重要事実
申立人に対し、公務員職権濫用被疑事件を東京地方裁判所の審判に付する決定(刑訴法266条2号)がなされた。これに対し、申立人が不服として最高裁判所に特別抗告(同法433条)を申し立てた事案である。
事件番号: 昭和50(し)37 / 裁判年月日: 昭和50年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法266条1号に基づく付審判請求棄却決定は、同法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:申立人は、公務員職権濫用の事実について刑事訴訟法262条に基づき付審判請求(審判請求)を行った。これに対…
あてはめ
付審判決定がなされた場合、当該事件は裁判所の審判に付されることになるが、その決定に含まれる手続上の瑕疵については、その後の被告事件の訴訟手続において主張し、争うことが可能である。このように、後の段階で救済の道が残されている以上、付審判決定そのものを独立して不服申立ての対象とする必要はない。したがって、付審判決定は刑訴法433条に規定する「不服を申し立てることができない決定」には当たらないといえる。
結論
本件抗告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
付審判決定(準起訴手続)の不服申立てに関するリーディングケース。答案では、中間的な決定や付随的な決定に対する不服申立ての可否が問われた際、後の本案手続での救済可能性を指標とする判断枠組みとして引用する。また、付審判決定そのものに抗告できないことの根拠として実務上定着している。
事件番号: 昭和42(し)40 / 裁判年月日: 昭和42年8月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的申判請求(付記:検察審査会法上の用語との混同を避けるため、通常は「付審判請求」と称される)を棄却する決定に対して、直接最高裁判所に特別抗告を申し立てることは、刑事訴訟法433条の要件を備えず不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、旭川警察署の氏名不詳の警察官による特別公務員暴行の事実につ…
事件番号: 昭和43(し)45 / 裁判年月日: 昭和43年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告(刑訴法433条)が許容されるのは、その対象である決定または命令に対し、刑事訴訟法上他に不服を申し立てることができない場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能であった。しかし…
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和54(し)88 / 裁判年月日: 昭和54年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】在監者が付審判請求事件の決定に対して特別抗告を申し立てる場合、刑事訴訟法366条1項(特則としての在監者主義)は準用ないし類推適用されない。したがって、抗告期間内に申立書を監獄官吏に提出しても、期間内に裁判所に受理されなければ申立ては不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は、付審判請求事件の決定…