本件証拠請求却下の決定のように訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らない(昭和二九年(し)第三七号、同年一〇月八日第三小法廷決定、集第八巻一〇号一五八八頁)。
証拠調請求却下決定と刑訴法第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」
刑訴法420条1項,刑訴法433条1項,刑訴法298条,刑訴規則190条
判旨
訴訟手続に関し判決前にされた証拠調べ請求却下の決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。したがって、かかる決定に対して特別抗告を申し立てることは不適法である。
問題の所在(論点)
証拠調べ請求を却下する決定のように、訴訟手続に関して判決前にされた決定が、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」に該当するか。
規範
刑事訴訟法433条1項の「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、同法に定める通常の抗告(普通抗告・即時抗告)の手続によって不服を申し立てることができない終局的判断としての決定を指す。一方、判決前の訴訟手続に関する決定は、原則として判決に対する上訴とともに争うべきものであり、同条の「不服を申し立てることができない決定」には該当しない。
重要事実
被告人側が裁判所に対して証拠調べを請求したが、裁判所はこれを却下する決定を行った。これに対し、被告人側が刑事訴訟法433条1項に基づき、最高裁判所に特別抗告を申し立てた事案である。
事件番号: 昭和57(し)34 / 裁判年月日: 昭和57年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調べ請求却下決定に対する異議申し立てを棄却する決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:本件は、裁判所が行った証拠調べ請求の却下決定に対し、被告人側が異議を申し立てた事案である。原決定(…
あてはめ
本件で争われている証拠調べ請求却下の決定は、訴訟手続の過程で判決前になされたものである。このような判決前の決定は、刑事訴訟法上、判決に対する上訴を通じて不服を申し立てるべき性質のものであり、独立して特別抗告の対象となる決定には含まれない。したがって、刑事訴訟法433条1項の要件を充足しない不適法な申し立てであると解される。
結論
本件証拠調べ請求却下の決定は特別抗告の対象に含まれないため、本件特別抗告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
判決前の付随的な決定に対して独立した上訴を認めないという刑事訴訟法の基本体系を確認するものである。実務上、証拠決定等の訴訟指揮に憲法違反を理由として直接特別抗告を申し立てることはできず、終局判決に対する上訴の中で争う必要があることを示している。
事件番号: 昭和47(し)87 / 裁判年月日: 昭和47年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しない。したがって、証拠調請求却下決定に対する異議申立を棄却した決定に対して、同条に基づく特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:被告人側が証拠調べを請求したが…
事件番号: 昭和43(し)105 / 裁判年月日: 昭和43年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠調請求却下決定に対する異議申立棄却決定のような、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項に規定する特別抗告の対象となる「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、裁判所が行った証拠調請求却下決定に対し、異議の申し立てを行っ…
事件番号: 昭和46(し)61 / 裁判年月日: 昭和46年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所による証拠調請求却下決定や、裁判長による被告人への質問処分などは、刑訴法433条1項に規定される「この法律により不服を申し立てることができない決定又は命令」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:傷害被告事件の控訴審において、東京高等裁判所が申立人の証拠調請求を却下する…
事件番号: 昭和52(し)159 / 裁判年月日: 昭和53年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論再開請求却下決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:本件は、被告人側が行った弁論再開請求が裁判所によって却下されたため、当該却下決定を不服として最高裁判所に対し特別抗告を申し立…