弁論再開請求却下決定に対する特別抗告の適否
刑訴法433条1項,刑訴法313条1項
判旨
弁論再開請求却下決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。
問題の所在(論点)
弁論再開請求を却下する決定が、刑事訴訟法433条1項に基づき独立して特別抗告の対象となり得るか、すなわち「この法律により不服を申し立てることができない決定」に該当するかが問題となる。
規範
刑事訴訟法433条1項の「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、その性質上、判決前の訴訟手続に関する決定(同法420条1項)を含まない。これらについては中間裁判としての性質を有し、独立した不服申立てを認めないのが法の趣旨である。
重要事実
本件は、被告人側が行った弁論再開請求が裁判所によって却下されたため、当該却下決定を不服として最高裁判所に対し特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
弁論再開請求却下決定は、訴訟手続に関し判決前にされた決定に該当する。このような判決前の決定は、最終的な判決に対する上訴によって争われるべきものであり、刑訴法433条1項が特別に不服申立てを認めた「不服申立てをすることができない決定」には当たらないと解される。
事件番号: 昭和30(し)45 / 裁判年月日: 昭和30年10月29日 / 結論: 棄却
本件証拠請求却下の決定のように訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らない(昭和二九年(し)第三七号、同年一〇月八日第三小法廷決定、集第八巻一〇号一五八八頁)。
結論
本件抗告は、不服申立てが認められない決定に対してなされたものであり、不適法として棄却されるべきである。
実務上の射程
判決前の手続的決定の独立した不服申立て可能性を否定した射程は広く、証拠決定や弁論の併合・分離などと同様に、最終判決に対する控訴等を通じてのみ争い得ることを確認する文脈で活用すべき判例である。
事件番号: 昭和60(し)139 / 裁判年月日: 昭和60年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした勾留理由開示請求を却下する決定に対しては、刑事訴訟法上、不服申し立てをすることが認められておらず、特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:詐欺被告事件により勾留されていた被告人が、最高裁判所第二小法廷に対し勾留理由開示請求を行った。これに対し、最高裁判所は昭和60年11月29日…
事件番号: 昭和44(し)19 / 裁判年月日: 昭和44年4月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人等による公訴棄却の申立ては、裁判所の職権発動を促すものにすぎず、これに対する却下決定は刑事訴訟法433条1項の特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:被告人側(あるいは抗告人)が、公訴棄却を求める申立てを行った。これに対し、裁判所が当該申立てを却下する旨の決定を下したため、申立人はこ…
事件番号: 昭和25(し)17 / 裁判年月日: 昭和28年1月22日 / 結論: 棄却
起訴状の謄本が所定期間内に送達されなかつたとして検察官がさらに控訴を提起した場合に、弁護人から同一裁判所に二重の起訴があつたものとして控訴棄却の申立があつたとしても、裁判所は、最終の判決自体においてその判断を示せばたり、その都度申立に対し決定することを要しない。
事件番号: 昭和28(し)18 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法が適用される事件において、高等裁判所の決定に対し最高裁判所へ抗告をすることは、訴訟法において特に認められた場合を除き許されない。 第1 事案の概要:申立人は、東京高等裁判所が下した再審請求棄却決定を不服として、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。本件は刑訴施行法2条に基づき旧刑事訴訟法…