最高裁判所がした勾留理由開示請求却下決定に対する特別抗告の適否(消極)
刑訴法433条
判旨
最高裁判所がした勾留理由開示請求を却下する決定に対しては、刑事訴訟法上、不服申し立てをすることが認められておらず、特別抗告は不適法である。
問題の所在(論点)
最高裁判所がした「勾留理由開示請求を却下する決定」に対し、刑事訴訟法上の特別抗告(同法433条等)を行うことが認められるか。
規範
最高裁判所が裁判体として下した決定については、法律上の特段の定めがない限り、さらに上級の裁判所に不服を申し立てる制度(特別抗告等)の対象とはならず、その性質上、不服申し立ては認められない。
重要事実
詐欺被告事件により勾留されていた被告人が、最高裁判所第二小法廷に対し勾留理由開示請求を行った。これに対し、最高裁判所は昭和60年11月29日に却下決定を下したところ、被告人が当該決定を不服として最高裁判所へ特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
刑事訴訟法における抗告制度は、下級裁判所の裁判に対して上級裁判所の是正を求めるものである。最高裁判所は日本における終審裁判所であり、その裁判体としての判断は確定的なものである。本件の勾留理由開示請求却下決定は最高裁判所自身がした決定であり、これに対してさらに不服を申し立てる制度的根拠は存在しない。したがって、被告人による本件申し立ては不適法といわざるを得ない。
事件番号: 昭和31(し)61 / 裁判年月日: 昭和31年12月13日 / 結論: 棄却
勾留理由開示の請求を却下する決定で高裁がしたものに対しては、たとい判決後にしたものであつても、刑訴四二八条二項により、その高等裁判所に通常の抗告に代る異議の申立をすることができるのである。従つて原判決は同四三三条にいう「この法律により不服を申立てることができない決定」にあたらないから、これに対し同条所定の特別抗告を申立…
結論
最高裁判所がした決定に対しては不服の申し立てをすることが認められていないため、本件特別抗告の申し立てを棄却する。
実務上の射程
最高裁の決定そのものに対する不服申立の可否という手続的論点を扱う。答案上では、最高裁が管轄を有する手続(勾留理由開示や再審請求等)において、最高裁自身の判断に不服がある場合の救済手段の有無を検討する際に「不服申立は認められない」とする根拠として引用する。
事件番号: 昭和52(し)159 / 裁判年月日: 昭和53年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁論再開請求却下決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告を申し立てることはできない。 第1 事案の概要:本件は、被告人側が行った弁論再開請求が裁判所によって却下されたため、当該却下決定を不服として最高裁判所に対し特別抗告を申し立…
事件番号: 昭和60(す)210 / 裁判年月日: 昭和60年12月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所がした保釈請求却下決定に対し、被告人から異議の申し立てをすることは、法の規定上認められておらず不適法である。 第1 事案の概要:詐欺被告事件により勾留中の被告人が最高裁判所に対して保釈請求を行ったところ、昭和60年11月21日に却下決定を受けた。これに対し、被告人が当該却下決定を不服とし…
事件番号: 昭和46(し)45 / 裁判年月日: 昭和46年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留理由開示の請求を却下した裁判官の裁判に対しては、刑事訴訟法429条1項2号により準抗告の申立てが可能である。 第1 事案の概要:本件において、請求人は裁判官による勾留理由開示請求の却下裁判に対し、最高裁判所へ特別抗告(刑訴法433条)を申し立てた。当該申立てが適法であるか、すなわち、同裁判が「…
事件番号: 昭和30(し)45 / 裁判年月日: 昭和30年10月29日 / 結論: 棄却
本件証拠請求却下の決定のように訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らない(昭和二九年(し)第三七号、同年一〇月八日第三小法廷決定、集第八巻一〇号一五八八頁)。