判旨
付審判請求を棄却する決定は、刑事訴訟法421条に基づく通常抗告の対象となるため、これに対し直接特別抗告を申し立てることは不適法である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法266条1号による付審判請求棄却決定に対し、直接最高裁判所へ特別抗告を申し立てることができるか。当該決定が通常抗告(同法421条)の対象となるか、それとも特別抗告の対象である「不服申立てをすることができない決定」にあたるかが問題となる。
規範
刑事訴訟法433条1項の特別抗告は、不服申立てをすることができない決定及び命令(同法421条の通常抗告ができないもの)を対象とするものである。したがって、通常抗告が可能な裁判に対して直接なされた特別抗告は、同条の要件を欠き不適法となる。
重要事実
付審判請求を受けた裁判所が、刑事訴訟法266条1号により当該請求を棄却する決定を行った。これに対し、申立人(抗告人)は通常抗告の手続きを経ることなく、最高裁判所に対して直接、特別抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法266条1号による審判請求棄却決定は、これに不服がある場合には同法421条に基づき、いつでも高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能であると解される。本件において抗告人は、この通常抗告の手続きを何ら経ていない。そうであれば、本件決定は「不服申立てをすることができない決定」には該当せず、特別抗告の前提条件を充足していないといえる。
結論
本件特別抗告は刑事訴訟法433条の要件を具備しない不適法なものとして、棄却を免れない。
実務上の射程
付審判請求棄却決定に対する不服申立経路を明確化したものである。答案上では、決定に対する不服申立ての可否を論じる際、まず通常抗告の適否を確認し、前審裁判が通常抗告可能な場合には直接の特別抗告は許されないという手続的ルールの根拠として引用する。
事件番号: 昭和29(し)57 / 裁判年月日: 昭和29年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所へ特別抗告をすることはできず、高等裁判所への通常抗告によるべきである。 第1 事案の概要:本件において、地方裁判所は刑訴法262条に基づく付審判請求に対し、同法266条1号により当該請求を棄却する決定を下した。これに対し、抗告人は高等裁判所…
事件番号: 昭和29(し)50 / 裁判年月日: 昭和29年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定は刑事訴訟法266条1号に基づく決定であり、これに対しては同法419条及び421条により、いつでも通常抗告をすることが可能である。したがって、同法433条の特別抗告を提起することは、他に不服申立の方法があるため不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、高松地方裁判所が行っ…
事件番号: 昭和30(し)26 / 裁判年月日: 昭和30年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的裁判(付記決定等)に対する不服申立てについて、刑訴法433条1項にいう「抗告をすることができない裁判」とは、その裁判に対して通常の抗告方法が全く認められていない場合を指す。したがって、通常抗告が可能な裁判に対し、その手続を経ずに直接特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:…
事件番号: 昭和30(し)7 / 裁判年月日: 昭和30年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的訴追(刑訴法262条1項)の審判請求を棄却した決定に対しては、通常の抗告が可能であるため、これを行わずに直接最高裁判所へ申し立てる特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大阪拘置所長による公務員職権濫用等の事実について、刑訴法262条1項に基づき審判請求を行った。これに対し、大…
事件番号: 昭和29(し)66 / 裁判年月日: 昭和29年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不付審判決定(刑訴法266条1号)は、地方裁判所のした裁判であり、かつ憲法上の不服申立を制限する特別の規定もないため、高等裁判所に対する通常抗告の対象となる。したがって、通常抗告の余地がある段階でなされた特別抗告は、不服申立の方法を誤った不適法なものとして棄却される。 第1 事案の概要:本件は、検…