判旨
付審判請求を棄却する地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所へ特別抗告をすることはできず、高等裁判所への通常抗告によるべきである。
問題の所在(論点)
付審判請求を棄却する地方裁判所の決定に対し、刑事訴訟法433条に基づく特別抗告を直接申し立てることができるか。当該決定が通常抗告の対象となるか、それとも不服申立てが不可能な決定として直ちに特別抗告の対象となるかが問題となる。
規範
刑事訴訟法266条1号に基づく付審判請求を棄却する地方裁判所の決定は、通常の不服申立てが許されない「裁判所の決定」には該当せず、高等裁判所に対する通常抗告(刑訴法419条)の対象となる。したがって、通常の抗告手続を経ることなく、直接最高裁判所に対して特別抗告(刑訴法433条1項)を申し立てることは認められない。
重要事実
本件において、地方裁判所は刑訴法262条に基づく付審判請求に対し、同法266条1号により当該請求を棄却する決定を下した。これに対し、抗告人は高等裁判所への抗告を経ることなく、直接最高裁判所に対して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
最高裁判所は、付審判請求の棄却決定については、高等裁判所に対して通常の抗告をなすべきであるとの先例(昭和28年12月22日大法廷決定)を引用した。本件の棄却決定は通常抗告による救済が予定されている手続であり、刑訴法433条が規定する「憲法違反等を理由として例外的に許容される最高裁判所への特別の申立て」の要件である「不服を申し立てることができない決定」には該当しない。したがって、本件申立ては不適法といえる。
結論
本件特別抗告は刑訴法433条の要件を欠き不適法であるため、棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和30(し)19 / 裁判年月日: 昭和30年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定は、刑事訴訟法421条に基づく通常抗告の対象となるため、これに対し直接特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:付審判請求を受けた裁判所が、刑事訴訟法266条1号により当該請求を棄却する決定を行った。これに対し、申立人(抗告人)は通常抗告の手続きを経ること…
本判決は、付審判請求棄却決定に対する不服申立ての適法な経路を明確にしたものである。答案作成上は、刑事訴訟法における抗告の構造(通常抗告・特別抗告の峻別)を理解する際の基礎知識として活用できる。特に「不服を申し立てることができない決定」の解釈において、下級審での救済手段が残されている場合には特別抗告が認められないことを示す好例である。
事件番号: 昭和29(し)50 / 裁判年月日: 昭和29年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定は刑事訴訟法266条1号に基づく決定であり、これに対しては同法419条及び421条により、いつでも通常抗告をすることが可能である。したがって、同法433条の特別抗告を提起することは、他に不服申立の方法があるため不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、高松地方裁判所が行っ…
事件番号: 昭和30(し)7 / 裁判年月日: 昭和30年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的訴追(刑訴法262条1項)の審判請求を棄却した決定に対しては、通常の抗告が可能であるため、これを行わずに直接最高裁判所へ申し立てる特別抗告は不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大阪拘置所長による公務員職権濫用等の事実について、刑訴法262条1項に基づき審判請求を行った。これに対し、大…
事件番号: 昭和30(し)26 / 裁判年月日: 昭和30年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付随的裁判(付記決定等)に対する不服申立てについて、刑訴法433条1項にいう「抗告をすることができない裁判」とは、その裁判に対して通常の抗告方法が全く認められていない場合を指す。したがって、通常抗告が可能な裁判に対し、その手続を経ずに直接特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:…
事件番号: 昭和29(し)53 / 裁判年月日: 昭和29年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定は、刑事訴訟法266条1号に基づく決定であり、これに対しては同法419条等により高等裁判所へ通常抗告をすべきである。したがって、直接最高裁判所へ特別抗告を申し立てることは、不服申立権の適法な行使にあたらず認められない。 第1 事案の概要:付審判請求がなされた事案において、地…