判旨
不付審判決定(刑訴法266条1号)は、地方裁判所のした裁判であり、かつ憲法上の不服申立を制限する特別の規定もないため、高等裁判所に対する通常抗告の対象となる。したがって、通常抗告の余地がある段階でなされた特別抗告は、不服申立の方法を誤った不適法なものとして棄却される。
問題の所在(論点)
地方裁判所のなした不付審判決定(刑訴法266条1号)に対し、直接最高裁判所へ特別抗告を申し立てることができるか。当該決定が「通常の抗告(刑訴法419条)」の対象となるかが争点となる。
規範
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告は、同法により不服を申し立てることができない決定または命令に対してのみ許容される。地方裁判所がなした不付審判決定(同法266条1号)については、同法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能である。
重要事実
本件は、検察官の不起訴処分に不服があるとしてなされた付審判請求に対し、静岡地方裁判所が請求を棄却する旨の決定(刑訴法266条1号)を下した事案である。これに対し、抗告人が最高裁判所に対して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
本件の原決定は、静岡地方裁判所という下級裁判所がなした決定であり、かつ刑訴法266条1号に基づくものである。同法419条は「裁判所のした決定」に対して抗告ができる旨を定めており、不付審判決定を特に除外する規定はない。したがって、本件決定はまず高等裁判所への通常抗告によって争われるべき性質のものであり、刑訴法433条が規定する「不服を申し立てることができない決定」には該当しないと評価される。
結論
本件特別抗告は不適法であり、刑訴法434条、426条1項により棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(し)23 / 裁判年月日: 昭和29年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察審査会の議決等に基づき裁判所が行う付審判請求を棄却する決定は、刑事訴訟法419条の「裁判所のした決定」に該当し、高等裁判所への通常抗告が認められる。したがって、不服申立ての手段がある以上、同法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は認められない。 第1 事案の概要:本件は、東京地方裁判所がなし…
付審判手続における裁判所の決定(棄却決定)の不服申立構造を明示したものである。実務上、地方裁判所の決定にはまず通常抗告(419条)を検討すべきであり、いきなり特別抗告を行うことは「不服申立の対象」を誤るものとして不適法となる。
事件番号: 昭和29(し)53 / 裁判年月日: 昭和29年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定は、刑事訴訟法266条1号に基づく決定であり、これに対しては同法419条等により高等裁判所へ通常抗告をすべきである。したがって、直接最高裁判所へ特別抗告を申し立てることは、不服申立権の適法な行使にあたらず認められない。 第1 事案の概要:付審判請求がなされた事案において、地…
事件番号: 昭和29(し)57 / 裁判年月日: 昭和29年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所へ特別抗告をすることはできず、高等裁判所への通常抗告によるべきである。 第1 事案の概要:本件において、地方裁判所は刑訴法262条に基づく付審判請求に対し、同法266条1号により当該請求を棄却する決定を下した。これに対し、抗告人は高等裁判所…
事件番号: 昭和30(し)19 / 裁判年月日: 昭和30年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求を棄却する決定は、刑事訴訟法421条に基づく通常抗告の対象となるため、これに対し直接特別抗告を申し立てることは不適法である。 第1 事案の概要:付審判請求を受けた裁判所が、刑事訴訟法266条1号により当該請求を棄却する決定を行った。これに対し、申立人(抗告人)は通常抗告の手続きを経ること…
事件番号: 昭和50(し)37 / 裁判年月日: 昭和50年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法266条1号に基づく付審判請求棄却決定は、同法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:申立人は、公務員職権濫用の事実について刑事訴訟法262条に基づき付審判請求(審判請求)を行った。これに対…