共同審理を受けている共同被告人が検察官の面前でした供述を録取した調書は、被告人との関係においては刑訴第三二一条第一項第二号の書面として証拠能力を有するけれども、補強証拠なしにそれだけで、被告人の犯罪事実を認定することはできない。
検察官の面前において相被告人の供述を録取した調書の証拠能力
憲法38条3項,刑訴法321条1項1号
判旨
共同被告人の供述(自白)を被告人の犯罪事実認定の証拠とするには、憲法38条3項に基づき補強証拠を必要とする。ただし、補強証拠は自白の全内容を証明する必要はなく、自白の真実性を保障するに足りるものであれば足りる。
問題の所在(論点)
共同被告人の自白を被告人の有罪認定の証拠とする際に、憲法38条3項の「本人の自白」に準じて補強証拠を必要とするか。また、必要とされる補強の程度はいかなるものか。
規範
共同審理を受けている共同被告人の供述(自白)は、それだけでは完全な独立の証拠能力を有するものではなく、有罪判決のためには補強証拠を必要とする。補強証拠の程度については、必ずしも自白の内容そのものを全部にわたって証するに足りるものであることを要せず、自白の真実性を保障するをもって足りる。
重要事実
被告人Aの事件において、検察官が作成した相被告人の供述録取調書が証拠として提出された。原審は、当該調書が刑訴法321条1項2号の要件を満たすとして、補強証拠なしに犯罪事実の認定に用いることができると判断したため、被告人側が憲法38条3項違反を理由に上告した。
あてはめ
共同被告人の供述は、被告人との関係で刑訴法321条1項2号の書面として証拠能力を取得し得る。しかし、共犯者の供述は責任転嫁の危険等があるため、単独で有罪を支えるには不十分であり、補強証拠を要する。本件において第一審判決が挙げた他の証拠群を検討すると、それらは相被告人の自白の真実性を客観的に裏付けるに足りるものであり、自白の真実性は保障されていると評価できる。
結論
共同被告人の供述により被告人の有罪を認定するには補強証拠を要するが、本件では自白の真実性を保障する補強証拠が存在するため、憲法38条3項に違反しない。
実務上の射程
共犯者の自白に補強証拠が必要であることを明示した重要判例である。答案上は、憲法38条3項の「本人の自白」を実質的に解釈し、共犯者の供述もこれに含まれる(または準用される)とする論証の根拠として用いる。また、補強証拠の程度について「真実性保障説」を採る際のスタンダードな規範となる。
事件番号: 昭和29(あ)3954 / 裁判年月日: 昭和30年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白の証明力を補強する証拠として、共犯者の供述を用いることは憲法38条3項に違反せず許容される。 第1 事案の概要:被告人が犯行を認める自白をしていた事案において、その自白を裏付ける補強証拠の適格性が争点となった。弁護人は、共犯者の供述を補強証拠として被告人を処罰することは憲法38条3項(…