判旨
共犯者の自白は、他の共同被告人に対する犯罪事実の認定において、憲法38条3項にいう補強証拠となり得る。第三者にあたる相被告人の供述調書が、被告人の自白を補強する十分な証拠であると認められる以上、自白のみによる処罰には当たらない。
問題の所在(論点)
共犯者(相被告人)の供述は、他の被告人の自白に対する補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)として認められるか。
規範
憲法38条3項が「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定する自白の補強証拠について、共犯者(相被告人)の供述は、当該被告人の自白に対する補強証拠となり得るものと解する。
重要事実
被告人Aが被告人Cに対し、金15万円を供与・受供与した事実が問題となった事案。原判決は、被告人Cの自白に加え、当該事案について第三者の立場にある相被告人Dの検察官に対する供述調書(昭和38年12月20日付および同月27日付)を証拠として採用し、有罪を認定した。これに対し被告人側は、自白のみによる処罰であるとして憲法38条3項違反を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人Cの金銭授受の事実を認定するにあたり、原判決はC本人の自白だけでなく、相被告人Dの供述調書を証拠として掲げている。相被告人Dは、被告人Cの事案については「第三者」にあたる立場であり、その供述は客観的な裏付けとして機能する。したがって、このDの供述調書は、Cの自白を補強する証拠として十分な価値を有すると認められる。この場合、有罪判決の基礎となる証拠は本人の自白のみとは言えない。
結論
相被告人の供述を補強証拠として有罪を認定することは憲法38条3項に違反しない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
共犯者の自白(供述)に補強証拠としての適格性を認めた判例である。司法試験においては、自白の補強証拠の要否が問題となる場面で、共犯者の供述が「自己に不利益な唯一の証拠」に含まれない(=補強証拠になり得る)ことを示す根拠として活用する。実務上も、共犯者間の供述による相互補強の限界を検討する際の基礎となる。
事件番号: 昭和46(あ)923 / 裁判年月日: 昭和46年7月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白を証拠とするには、憲法38条3項及び刑事訴訟法319条2項に基づき補強証拠が必要であるが、共犯者の供述がその補強証拠となり得ることを認めた。 第1 事案の概要:被告人らは共謀の上、犯罪に及んだとして起訴された。第一審の公判において、被告人らは自白したが、その補強証拠として、共犯者である…