判旨
貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続して行う意思のもとに金銭の貸し付けまたは金銭貸借の媒介行為を行うことを指し、営利の目的(利を図ること)は要件ではない。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律2条にいう「貸金業」の定義において、営利の目的(利を図ること)が必要か。また、法改正に際して経過措置がある場合の「刑の廃止(刑訴法405条等)」の成否が問題となる。
規範
「貸金業」とは、反復継続して行う意思をもって金銭の貸し付けまたは金銭貸借の媒介を行うことをいう。営利の目的(利を図ること)があることは、当該業務に該当するための不可欠な要件ではない。
重要事実
被告人は、貸金業等の取締に関する法律(当時)に基づき、金銭の貸し付け等を行っていた。被告人は、当該行為が「貸金業」に該当しないこと、および法改正により刑が廃止されたことなどを理由に上告した。特に、営利の目的がなければ同法の「業」には当たらないのではないかが問題となった。
あてはめ
最高裁は、過去の判例(最決昭29.4.13等)を引用し、貸金業の定義には反復継続の意思があれば足りるとした。本件において被告人が反復継続して貸し付け等を行う意思があったことは、原審が認定した事実から明らかである。また、法改正により旧法が廃止されたとしても、新法の附則において「施行前の行為に対する罰則の適用は従前の例による」旨の経過規定がある以上、刑の廃止には当たらない。
結論
貸金業の成立に営利の目的は不要である。また、経過規定により罰則が維持されるため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
行政法規や刑罰法規における「業として」の解釈において、営利性の有無が要件となるか否かを検討する際の基礎的な指針となる。特に金商法や宅建業法等における「業」の解釈においても、反復継続性が中核となる点を示唆している。
事件番号: 昭和30(あ)1118 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律第二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思をもつて金銭の貸付または金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り、必ずしもその貸付の相手が不特定多数の者であることを必要とするものではない。
事件番号: 昭和26(あ)853 / 裁判年月日: 昭和29年11月24日 / 結論: 棄却
一 貸金業等の取締に関する法律二条第一項にいう「貸金業」とは反覆、継続の意思をもつて金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り必ずしも報酬若しくは利益を得る意思またはこれを得た事実を必要とするものではない。 二 貸金業等の取締に関する法律第一八条第一号の規定は職業選択の自由について規定した憲法第二二条に違反し…
事件番号: 昭和30(あ)2101 / 裁判年月日: 昭和32年2月28日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律2条1項にいう「貸金業」とは、反覆継続の意思をもって金銭の貸付等を行うことを指し、営利の目的や利益を得た事実は要件ではない。 第1 事案の概要:被告人が複数の相手に対し、期間を置いて、あるいは短期間に集中して金銭の貸付を行った。原審は、一部の貸付について交友関係に基づくも…
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
事件番号: 昭和28(あ)601 / 裁判年月日: 昭和30年4月22日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律第二条にいう「貸金業」の意義は当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第八五三号同二九年一一月二四日大法廷判決)のとおりであつて客観的に観察して貸金業としての形態を備えることは右「貸金業」の要件には属しない。