一 貸金業等の取締に関する法律二条第一項にいう「貸金業」とは反覆、継続の意思をもつて金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り必ずしも報酬若しくは利益を得る意思またはこれを得た事実を必要とするものではない。 二 貸金業等の取締に関する法律第一八条第一号の規定は職業選択の自由について規定した憲法第二二条に違反しない。
一 貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」の意義 二 貸金業等の取締に関する法律第一八条第一号の規定の合憲性
貸金業等の取締に関する法律2条,貸金業等の取締に関する法律18条1号,貸金業等の取締に関する法律5条,憲法22条1項
判旨
貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは媒介をすれば足り、営利の目的(報酬・利益を得る意思)は不要である。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律2条1項にいう「貸金業」の定義において、営利の目的(報酬や利益を得る意思・事実)が必要か、それとも「反復継続の意思」があれば足りるかが問題となった。
規範
貸金業等の取締に関する法律2条1項にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り、必ずしも報酬若しくは利益を得る意思またはこれを得た事実を必要としない。
重要事実
被告人が貸金業等の取締に関する法律3条所定の届出を怠ったまま金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法にいう「貸金業」には営利の目的が必要であると主張して争ったが、下級審はこれを認めず、有罪判決を下した。これに対し被告人が上告した事案である。
事件番号: 昭和28(あ)756 / 裁判年月日: 昭和29年7月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律2条にいう「貸金業」に該当するためには、必ずしも報酬や利益を得る意思、または現に利益を得た事実は必要ではない。 第1 事案の概要:被告人が「貸金業等の取締に関する法律」2条に規定される「貸金業」を営んでいたとして起訴された事案において、被告人側が「報酬や利益を得る意思がな…
あてはめ
同法が規制の対象とする「貸金業」は、反復継続の意思をもって行われる貸付け等の行為自体を指す。したがって、具体的な報酬の授受や利益を得る目的が認められない場合であっても、社会通念上、反復継続して同行為を行う意思が認められる限りにおいて、同法の「業」に該当すると解される。本件において被告人が反復継続の意思をもって貸付け等を行った事実は認められ、営利性の欠如を理由に「業」性を否定することはできない。
結論
貸金業にあたるというべきである。営利の意思がなくても反復継続の意思がある以上、同法上の「貸金業」に該当し、届出義務を負う。
実務上の射程
行政取締法規における「業」の解釈において、営利性の要否を判断する重要な指針となる。本判決は営利目的を不要とするが、その後の下級審裁判例では、他の行政法規(医師法等)における「業」の定義において、反復継続性と並んで営利目的を重視するものもあり、各法律の目的・規制対象に応じて判断すべきとされる。答案上は、貸金業法違反が問われる場面で、営利目的がなくとも「業」該当性を肯定する根拠として活用する。
事件番号: 昭和28(あ)2460 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
事件番号: 昭和30(あ)842 / 裁判年月日: 昭和30年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続して行う意思のもとに金銭の貸し付けまたは金銭貸借の媒介行為を行うことを指し、営利の目的(利を図ること)は要件ではない。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(当時)に基づき、金銭の貸し付け等を行っていた。被告人は、当該行為が…
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…