判旨
貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。
問題の所在(論点)
1. 貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」の定義において、営利の目的(報酬・利益を得る意思等)は必要か。 2. 無届貸金業者に対する罰則規定は、憲法22条の職業の自由に違反するか。
規範
「貸金業」の定義として、反復継続の意思をもって金銭の貸付け等を行うことを要件とする。一方で、必ずしも報酬や利益を得る意思、または現にこれを得た事実(営利性)を必要としない。また、無届営業を処罰する法的規制は、公共の福祉に基づく合理的な制限として、職業の自由を保障する憲法22条に違反しない。
重要事実
被告人が、貸金業等の取締に関する法律に基づく届出をせず、反復継続の意思をもって金銭の貸付け等を行った事案。被告人側は、同法の罰則規定が憲法22条の職業の自由を侵害するものであること、および利益を得る意思がない以上は「貸金業」に該当しないことを主張して上告した。
あてはめ
1. 業としての定義について:本件における「貸金業」とは、反復継続の意思をもって活動を行うことをもって足りる。営利の意思や現利の取得は構成要件に含まれないため、これらを欠く場合であっても同法の規制対象となる。 2. 憲法適合性について:判例(最大判昭29.11.24)に照らし、貸金業に対する届出制および無届業者への罰則は、社会経済秩序の維持という公共の福祉に合致する適法な規制といえる。したがって、被告人の職業の自由を不当に侵害するものではない。
結論
貸金業の成立に営利性は不要であり、本件罰則規定は憲法22条に違反しない。したがって、被告人の上告は棄却される。
事件番号: 昭和26(あ)853 / 裁判年月日: 昭和29年11月24日 / 結論: 棄却
一 貸金業等の取締に関する法律二条第一項にいう「貸金業」とは反覆、継続の意思をもつて金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り必ずしも報酬若しくは利益を得る意思またはこれを得た事実を必要とするものではない。 二 貸金業等の取締に関する法律第一八条第一号の規定は職業選択の自由について規定した憲法第二二条に違反し…
実務上の射程
行政法規の処罰規定における「業として」の解釈指針として重要。営利目的を明文で要求しない規制法において、反復継続の意思さえあれば「業」に該当し得ることを示した点に射程がある。答案上は、憲法22条1項の合理的制限の具体例、あるいは経済刑法における構成要件解釈の場面で活用できる。
事件番号: 昭和30(あ)842 / 裁判年月日: 昭和30年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続して行う意思のもとに金銭の貸し付けまたは金銭貸借の媒介行為を行うことを指し、営利の目的(利を図ること)は要件ではない。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(当時)に基づき、金銭の貸し付け等を行っていた。被告人は、当該行為が…
事件番号: 昭和28(あ)2460 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…
事件番号: 昭和28(あ)601 / 裁判年月日: 昭和30年4月22日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律第二条にいう「貸金業」の意義は当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第八五三号同二九年一一月二四日大法廷判決)のとおりであつて客観的に観察して貸金業としての形態を備えることは右「貸金業」の要件には属しない。