貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。
貸金業等の取締に関する法律にいう貸金業の意義
貸金業等の取締に関する法律2条,貸金業等の取締に関する法律5条,貸金業等の取締に関する法律18条1号
判旨
「貸金業」とは、反復継続して行う意思の下に金銭の貸付け又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、営利を目的とすることは必ずしもその要件ではない。
問題の所在(論点)
「貸金業等の取締に関する法律」(現:貸金業法)における「貸金業」の定義において、営利を目的とすること(利を図ること)が必要か。
規範
「貸金業」とは、反復継続して行う意思(業としての意思)を持って金銭の貸付けまたは金銭貸借の媒介行為を行うことを指す。その際、これによって利益を図ること(営利目的)は、貸金業に該当するための必須の要件ではない。
重要事実
被告人が「貸金業等の取締に関する法律」に基づく届出等をせずに金銭の貸付け等を行った。第一審判決は、被告人の行為が貸金業に該当すると認定し、原審もこれを支持した。これに対し弁護人は、営利の目的がなければ貸金業には当たらないとして判例違反を主張し上告した。
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…
あてはめ
本件において被告人は、反復継続して金銭を貸し付ける意思を持って当該行為に及んでいる。法律上の「業」の概念は、公衆の利便や経済秩序の維持を目的とする規制の性質上、不特定多数に対し継続的に行われる点に本質がある。したがって、仮に被告人が利得を得る主観的な意図を持っていなかったとしても、反復継続の意思が認められる以上、貸金業としての性質を失うものではないと解される。
結論
利を図ることは貸金業の要件ではないため、被告人の所為は貸金業に該当する。
実務上の射程
行政法や経済刑法における「業として」の解釈において、営利性の要否が争点となる場合の重要判例である。営利目的がなくとも、反復継続の意思があれば「業」に該当し得るという判断枠組みは、無免許営業の処罰規定の適用範囲を画定する際の基礎となる。
事件番号: 昭和26(あ)853 / 裁判年月日: 昭和29年11月24日 / 結論: 棄却
一 貸金業等の取締に関する法律二条第一項にいう「貸金業」とは反覆、継続の意思をもつて金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り必ずしも報酬若しくは利益を得る意思またはこれを得た事実を必要とするものではない。 二 貸金業等の取締に関する法律第一八条第一号の規定は職業選択の自由について規定した憲法第二二条に違反し…
事件番号: 昭和28(あ)756 / 裁判年月日: 昭和29年7月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律2条にいう「貸金業」に該当するためには、必ずしも報酬や利益を得る意思、または現に利益を得た事実は必要ではない。 第1 事案の概要:被告人が「貸金業等の取締に関する法律」2条に規定される「貸金業」を営んでいたとして起訴された事案において、被告人側が「報酬や利益を得る意思がな…
事件番号: 昭和28(あ)208 / 裁判年月日: 昭和29年8月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け等を行えば足り、報酬や利益を得る意思、または現にこれを得た事実は必要ない。 第1 事案の概要:被告人が金銭の貸付けを行った行為が、貸金業等の取締に関する法律(当時)2条にいう「貸金業」に該当するかが争われた。被告人は…
事件番号: 昭和28(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和28年9月10日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思を以て金銭の貸付又は金銭の貸借を媒介することを指すものであり、(昭和二六年(あ)二七〇二号、同二八年二月三日第三小法廷決定参照)、必ずしも所論のように「普段の収入の源泉となす意思を以て」それらの行為をなした場合に限るべきいわれはない。