判旨
貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。
問題の所在(論点)
貸金業法における「業として行う」の意義、および無登録営業罪の成立に営利の目的(利益を図ること)が必要か否か。
規範
「業として行う」とは、特定の事業を反復継続して行う意思をもってこれに従事することをいい、必ずしも営利を目的とすること(利益を図ること)を要件とはしない。
重要事実
被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法47条以下)違反の罪が成立するためには利益を図る目的が必要であると主張して上告した。なお、具体的な貸付けの回数や金額、期間等の事実は判決文からは不明である。
あてはめ
判決文は、昭和28年2月3日第三小法廷判決を引用し、法が規制対象とする「業」としての行為には利益を図る主観的意図を要しないと判示している。したがって、反復継続の意思をもって貸付けを行っている実態があれば、たとえ実質的な利益を得る目的が証明されなくとも、同法の「業として行う」に該当すると解される。
結論
貸金業を「業として行う」というためには、反復継続の意思があれば足り、利益を図ることは要件ではないため、無登録営業罪が成立する。
実務上の射程
行政刑法における「業」の解釈の典型例であり、貸金業法のみならず、営利性が明文化されていない他の業法規制における「業」の解釈にも妥当しうる。答案上は、反復継続性と営利性の有無を峻別して論じる際に活用できる。
事件番号: 昭和27(あ)2827 / 裁判年月日: 昭和29年9月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律における「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け又はその媒介を業として行うことを指し、不特定多数人を相手にする場合に限定されない。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律上の登録を受けずに、反復継続して金銭の貸付け等を行ったとして起訴された。弁護…
事件番号: 昭和28(あ)2460 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。
事件番号: 昭和28(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和28年9月10日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思を以て金銭の貸付又は金銭の貸借を媒介することを指すものであり、(昭和二六年(あ)二七〇二号、同二八年二月三日第三小法廷決定参照)、必ずしも所論のように「普段の収入の源泉となす意思を以て」それらの行為をなした場合に限るべきいわれはない。
事件番号: 昭和27(あ)6819 / 裁判年月日: 昭和28年10月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、名義の如何を問わず、金銭の貸付けまたは貸借の媒介を反復継続して行うことを指し、必ずしも生計を立てるために行う場合に限られない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(当時)に規定される登録等を受けずに金銭の貸付け等を行っていた事案に…
事件番号: 昭和29(あ)903 / 裁判年月日: 昭和29年6月18日 / 結論: 棄却
貸金業には必ずしも報酬または利益を得る意思若しくは現にこれを得たことを必要としない。