判旨
貸金業等の取締に関する法律における「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け又はその媒介を業として行うことを指し、不特定多数人を相手にする場合に限定されない。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)における「貸金業」の意義、とりわけ「業として」の解釈が問題となる。
規範
「業として」行うとは、反復継続の意思をもって、社会的に相当な回数、金銭の貸付け等を行うことを意味する。特定の相手方に対する貸付けであっても、反復継続の意思が認められ、その回数や態様が社会通念上の「業務」といえる程度に達していれば、本法にいう「貸金業」に該当する。
重要事実
被告人は、貸金業等の取締に関する法律上の登録を受けずに、反復継続して金銭の貸付け等を行ったとして起訴された。弁護人は、当該行為が同法にいう「貸金業」の定義に該当しない旨を主張して上告した。判決文中に具体的な貸付け回数や相手方の詳細は記載されていないが、原審が認定した事実関係に基づき、被告人の行為が「業」にあたると判断された事案である。
あてはめ
最高裁は、原判決が「貸金業」の意義について下した解釈を正当なものとして是認した。参照される先例(昭和29年4月8日決定)の趣旨に照らせば、相手方が特定か不特定かを問わず、また営利の目的の有無にかかわらず、反復継続して貸付けを行う意思が客観的に認められる場合には「業として」の要件を充足するといえる。本件においても、記録上、反復継続の意思をもって貸付けが行われたと評価できる事実が認められたため、同法の規制対象となる「貸金業」にあたると解される。
結論
被告人の行為は、貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」に該当するため、無登録営業として有罪とした原判決は正当である。
実務上の射程
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…
行政法や経済刑法における「業として」の解釈の典型例として機能する。不特定多数を相手にする必要がない点、および回数だけでなく「反復継続の意思」という主観的・客観的要素が重視される点が、実務上および答案上の判断枠組みとなる。
事件番号: 昭和29(あ)57 / 裁判年月日: 昭和32年1月24日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律施行の際、現に貸金業を行つている者が、同法施行後従前からの貸金につきその条件を変更しまたはその支払期日を延期する等その貸金債権を準消費貸借に改めまたはその支払を延期する行為も、同条にいう「金銭の貸付」と解するのが相当である。
事件番号: 昭和27(あ)6819 / 裁判年月日: 昭和28年10月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、名義の如何を問わず、金銭の貸付けまたは貸借の媒介を反復継続して行うことを指し、必ずしも生計を立てるために行う場合に限られない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(当時)に規定される登録等を受けずに金銭の貸付け等を行っていた事案に…
事件番号: 昭和28(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和28年9月10日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思を以て金銭の貸付又は金銭の貸借を媒介することを指すものであり、(昭和二六年(あ)二七〇二号、同二八年二月三日第三小法廷決定参照)、必ずしも所論のように「普段の収入の源泉となす意思を以て」それらの行為をなした場合に限るべきいわれはない。
事件番号: 昭和28(あ)3644 / 裁判年月日: 昭和29年4月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】「貸金業等の取締に関する法律」2条にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をすることを指す。 第1 事案の概要:被告人が「貸金業等の取締に関する法律」(当時の法律)2条に規定される「貸金業」に該当する行為を行ったとして起訴された。弁護人は、原判決の判断に判例…