判旨
貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、名義の如何を問わず、金銭の貸付けまたは貸借の媒介を反復継続して行うことを指し、必ずしも生計を立てるために行う場合に限られない。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」の意義、特に「生計を立てるために行うこと」が必要か否か。
規範
「貸金業」とは、いかなる名義をもってするかを問わず、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を反復継続して行うことをいう。そこに、主観的意図として「生計を立てるため」という目的が含まれている必要はない。
重要事実
被告人が、貸金業等の取締に関する法律(当時)に規定される登録等を受けずに金銭の貸付け等を行っていた事案において、被告人側は、当該行為が「生計を立てるため」になされたものではないから、同法にいう「貸金業」には該当しないと主張して上告した。
あてはめ
同法が規制対象とする「貸金業」の本質は、金銭の貸付け等の行為が「反復継続」して行われる点にあり、名義や動機は問われない。したがって、被告人が主張するような「生計を立てるため」という主観的な目的の有無は、貸金業の成立を左右するものではないと解される。
結論
「貸金業」に該当するために生計を立てる目的は不要であり、反復継続して貸付け等を行っていれば同法違反が成立する。
実務上の射程
行政法規や経済犯罪における「業として」の解釈において、営利性や生計維持の目的が不要であることを示す先例として活用できる。答案上は、事業性の有無を判断する際、主観的な目的よりも客観的な反復継続性を重視する根拠として引用すべきである。
事件番号: 昭和28(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和28年9月10日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思を以て金銭の貸付又は金銭の貸借を媒介することを指すものであり、(昭和二六年(あ)二七〇二号、同二八年二月三日第三小法廷決定参照)、必ずしも所論のように「普段の収入の源泉となす意思を以て」それらの行為をなした場合に限るべきいわれはない。
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…
事件番号: 昭和28(あ)2460 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。
事件番号: 昭和27(あ)348 / 裁判年月日: 昭和30年3月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をする行為を指し、営利の目的(報酬・利益を得る意思や事実)は要件ではない。また、無届貸金業者に対する罰則規定は憲法22条の職業の自由を侵害せず、合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等…
事件番号: 昭和28(あ)601 / 裁判年月日: 昭和30年4月22日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律第二条にいう「貸金業」の意義は当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第八五三号同二九年一一月二四日大法廷判決)のとおりであつて客観的に観察して貸金業としての形態を備えることは右「貸金業」の要件には属しない。