貸金業等の取締に関する法律第二条にいう「貸金業」の意義は当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第八五三号同二九年一一月二四日大法廷判決)のとおりであつて客観的に観察して貸金業としての形態を備えることは右「貸金業」の要件には属しない。
貸金業等の取締に関する法律第二条にいう「貸金業」の要件
貸金業等の取締に関する法律2条
判旨
貸金業等の取締に関する法律2条にいう「貸金業」とは、反覆継続の意思をもって金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介をすれば足り、報酬・利益を得る意思や客観的な業態を備えることは要しない。
問題の所在(論点)
貸金業等の取締に関する法律2条にいう「貸金業」の意義、特に報酬・利益を得る意思や客観的な業態が要件となるか。
規範
「貸金業」とは、反覆継続の意思をもって金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介をすることをいい、必ずしも報酬若しくは利益を得る意思、または現にこれを得た事実を必要としない。また、客観的に観察して貸金業としての形態(一般的な利息の徴収や周知性等)を備えることも、その要件に属しない。
重要事実
被告人が金銭の貸付けを行った行為について、貸金業等の取締に関する法律(昭和24年法律170号)違反として起訴された事案。弁護人は、同法上の「貸金業」に該当するためには、報酬・利益を得る意思や、一般的な利息の徴収、相当数の人々に周知されているといった客観的な業態が必要であると主張して上告した。
事件番号: 昭和28(あ)3644 / 裁判年月日: 昭和29年4月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】「貸金業等の取締に関する法律」2条にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をすることを指す。 第1 事案の概要:被告人が「貸金業等の取締に関する法律」(当時の法律)2条に規定される「貸金業」に該当する行為を行ったとして起訴された。弁護人は、原判決の判断に判例…
あてはめ
被告人の行為において、反覆継続の意思をもって金銭の貸付けをしていた事実が認められる。弁護人が主張する「一般的な利息の徴収」や「周知性」といった事情は、反覆継続の意思の有無を判断する基準にはなり得るものの、それ自体が貸金業の不可欠な構成要件ではない。したがって、反覆継続の意思が認められる以上、その他の業態や営利性の有無を問わず、同法所定の「貸金業」に該当するといえる。
結論
被告人の所為は貸金業等の取締に関する法律2条の「貸金業」に該当し、同法所定の罰則が適用される。
実務上の射程
行政法規における「業」の解釈(反覆継続の意思の重視)の基本を示す判例であり、他法令(宅建業法、弁護士法等)における「業」の解釈を検討する際の参考となる。特に、主観的な営利目的や客観的な営業実態がなくても、反覆継続の意思さえあれば「業」に該当し得る点に注意が必要である。
事件番号: 昭和30(あ)2101 / 裁判年月日: 昭和32年2月28日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律2条1項にいう「貸金業」とは、反覆継続の意思をもって金銭の貸付等を行うことを指し、営利の目的や利益を得た事実は要件ではない。 第1 事案の概要:被告人が複数の相手に対し、期間を置いて、あるいは短期間に集中して金銭の貸付を行った。原審は、一部の貸付について交友関係に基づくも…
事件番号: 昭和28(あ)2460 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。
事件番号: 昭和30(あ)1118 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律第二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思をもつて金銭の貸付または金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り、必ずしもその貸付の相手が不特定多数の者であることを必要とするものではない。
事件番号: 昭和28(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和28年9月10日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思を以て金銭の貸付又は金銭の貸借を媒介することを指すものであり、(昭和二六年(あ)二七〇二号、同二八年二月三日第三小法廷決定参照)、必ずしも所論のように「普段の収入の源泉となす意思を以て」それらの行為をなした場合に限るべきいわれはない。