貸金業等の取締に関する法律第二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思をもつて金銭の貸付または金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り、必ずしもその貸付の相手が不特定多数の者であることを必要とするものではない。
貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」の意義
貸金業等の取締に関する法律2条,貸金業等の取締に関する法律5条,貸金業等の取締に関する法律18条1号
判旨
貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け等を行うことを指し、その相手方が不特定多数であることを要しない。
問題の所在(論点)
旧貸金業等の取締に関する法律2条に規定される「貸金業」の定義において、反復継続の意思に加えて、貸付けの相手方が「不特定多数」であることを要するか。
規範
「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け、または金銭の貸借の媒介をする行為を指す。この「業」としての成立には、反復継続の意思があれば足り、貸付けの相手方が不特定多数の者であることを要件としない。
重要事実
被告人両名は、貸金業等の取締に関する法律(当時)に基づき、金銭の貸付け等を行った。被告人らは、当該法律が憲法98条に違反すること、および貸付けの相手方が不特定多数でない場合には「貸金業」に該当しないことを主張して、有罪とした原判決の違法性を争い、上告した。
事件番号: 昭和30(あ)842 / 裁判年月日: 昭和30年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続して行う意思のもとに金銭の貸し付けまたは金銭貸借の媒介行為を行うことを指し、営利の目的(利を図ること)は要件ではない。 第1 事案の概要:被告人は、貸金業等の取締に関する法律(当時)に基づき、金銭の貸し付け等を行っていた。被告人は、当該行為が…
あてはめ
本件において被告人らは、反復継続の意思をもって貸付け等を行っていた。被告人らは相手方が不特定多数でないことを理由に業該当性を否定するが、判例の趣旨に照らせば、同法が規制対象とするのは反復継続的な経済活動としての貸付け行為そのものである。したがって、特定の個人や少数の者を相手とする場合であっても、反復継続の意思が認められる限りにおいて「貸金業」に該当すると解される。原判決が認定した事実関係のもとで、被告人らの行為に違法性を認めた判断は正当である。
結論
貸金業の成立には、貸付けの相手方が不特定多数であることを必要としない。したがって、被告人らの行為は「貸金業」に該当し、上告は棄却される。
実務上の射程
行政法規における「業」の概念を画定する重要判例である。不特定多数性は必須ではなく、「反復継続の意思」が核心的要素となる。現代の貸金業法やその他の営業規制(宅建業法等)における「業」の解釈においても、この規範は基本的な枠組みとして維持されており、答案上は主観的要素(意思)と客観的要素(反復継続性)から業該当性を論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和28(あ)601 / 裁判年月日: 昭和30年4月22日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律第二条にいう「貸金業」の意義は当裁判所の判例(昭和二六年(あ)第八五三号同二九年一一月二四日大法廷判決)のとおりであつて客観的に観察して貸金業としての形態を備えることは右「貸金業」の要件には属しない。
事件番号: 昭和28(あ)3644 / 裁判年月日: 昭和29年4月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】「貸金業等の取締に関する法律」2条にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって、金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介をすることを指す。 第1 事案の概要:被告人が「貸金業等の取締に関する法律」(当時の法律)2条に規定される「貸金業」に該当する行為を行ったとして起訴された。弁護人は、原判決の判断に判例…
事件番号: 昭和30(あ)2101 / 裁判年月日: 昭和32年2月28日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律2条1項にいう「貸金業」とは、反覆継続の意思をもって金銭の貸付等を行うことを指し、営利の目的や利益を得た事実は要件ではない。 第1 事案の概要:被告人が複数の相手に対し、期間を置いて、あるいは短期間に集中して金銭の貸付を行った。原審は、一部の貸付について交友関係に基づくも…
事件番号: 昭和28(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和28年9月10日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律二条にいわゆる貸金業とは反覆継続の意思を以て金銭の貸付又は金銭の貸借を媒介することを指すものであり、(昭和二六年(あ)二七〇二号、同二八年二月三日第三小法廷決定参照)、必ずしも所論のように「普段の収入の源泉となす意思を以て」それらの行為をなした場合に限るべきいわれはない。