貸金業には必ずしも報酬または利益を得る意思若しくは現にこれを得たことを必要としない。
貸金業には報酬または利益を得る意思若しくは現にこれを得たことを必要とするか
貸金業等の取締に関する法律2条
判旨
貸金業法等の規制対象となる「貸金業」の該当性判断において、必ずしも報酬若しくは利益を得る意思、又は現にこれを得たことは必要とされない。
問題の所在(論点)
貸金業の該当性について、報酬または利益を得る意思、あるいは現にそれらを得たことが必要か(営利性の要件の有無)。
規範
「貸金業」に該当するか否かの判断にあたっては、営利の目的、すなわち報酬若しくは利益を得る意思があること、又は現にそれらを得たことは必ずしも必要ではない。
重要事実
被告人は、貸金業としての登録等を受けずに金銭の貸し付けを行ったとして、当時の貸金業等取締法違反(無登録営業等)に問われた。弁護人は、報酬や利益を得る意思がなかったこと、あるいは実際に利益を得ていないことを理由に、当該行為が「貸金業」には当たらないと主張して上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和27(あ)2189 / 裁判年月日: 昭和28年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「業として行う」とは、反復継続して金銭の貸付け等を行うことを指し、必ずしも営利の目的(利益を図ること)を必要としない。 第1 事案の概要:被告人が、貸金業等の取締に関する法律(現:貸金業法)の登録を受けずに金銭の貸付け等を行った。被告人側は、同法5条(現:貸金業法4…
本判決は、先行する判例(昭和28年2月3日決定等)を引用し、貸金業の定義において営利目的の存在や現実の利益享受は不可欠な要素ではないと判示した。したがって、被告人が主張する「報酬・利益を得る意思の欠如」や「現実の無利益」という事実は、貸金業としての該当性を否定する根拠にはならないと解される。
結論
貸金業の成立には必ずしも報酬・利益を得る意思や実績を必要としないため、被告人の行為は貸金業に該当し、上告は棄却される。
実務上の射程
行政規制法における「業」の解釈全般に関わる射程を持つ。反復継続して行われる行為であれば、主観的な営利目的や客観的な収益性がなくとも、規制の対象となる「業」に該当しうることを示す重要な指針である。
事件番号: 昭和28(あ)756 / 裁判年月日: 昭和29年7月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律2条にいう「貸金業」に該当するためには、必ずしも報酬や利益を得る意思、または現に利益を得た事実は必要ではない。 第1 事案の概要:被告人が「貸金業等の取締に関する法律」2条に規定される「貸金業」を営んでいたとして起訴された事案において、被告人側が「報酬や利益を得る意思がな…
事件番号: 昭和28(あ)2460 / 裁判年月日: 昭和29年4月8日 / 結論: 棄却
貸金業等の取締に関する法律にいわゆる「貸金業」とは、反覆継続して行う意思の下に金銭の貸付又は金銭貸借の媒介行為を行うことをいい、利を図ることはその要件でない。
事件番号: 昭和26(あ)853 / 裁判年月日: 昭和29年11月24日 / 結論: 棄却
一 貸金業等の取締に関する法律二条第一項にいう「貸金業」とは反覆、継続の意思をもつて金銭の貸付又は金銭の貸借の媒介をする行為をすれば足り必ずしも報酬若しくは利益を得る意思またはこれを得た事実を必要とするものではない。 二 貸金業等の取締に関する法律第一八条第一号の規定は職業選択の自由について規定した憲法第二二条に違反し…
事件番号: 昭和28(あ)208 / 裁判年月日: 昭和29年8月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】貸金業等の取締に関する法律にいう「貸金業」とは、反復継続の意思をもって金銭の貸付け等を行えば足り、報酬や利益を得る意思、または現にこれを得た事実は必要ない。 第1 事案の概要:被告人が金銭の貸付けを行った行為が、貸金業等の取締に関する法律(当時)2条にいう「貸金業」に該当するかが争われた。被告人は…