判旨
裁判所は、当事者が申請したすべての証人を取り調べなければならない義務を負うものではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟において、被告人が申請した証人をすべて取り調べないことが、憲法が保障する適正手続きや防御権に反しないか。
規範
裁判所は、申請にかかるすべての証人を取り調べなければならないものではない。証拠採用の要否は裁判所の裁量に委ねられる。
重要事実
被告人側は、第一審において証人の取調べを申請したが、裁判所はその一部または全部を採用しなかった。また、第一審が証拠とした被告人の供述調書(司法警察員および検察官作成)について、被告人側は任意性を欠くと主張して上告した。
あてはめ
最高裁は、先行する大法廷判決を引用し、証人採用の裁量を肯定した。また、本件の供述調書については、原判決が任意性に欠けるところはないと判断した過程に誤りはないとした。したがって、特定の証人を取り調べなかったことが直ちに違憲の評価を受けるものではないと判断した。
結論
本件上告は棄却された。裁判所が申請された証人をすべて取り調べなくても、直ちに違憲とはならない。
実務上の射程
刑事訴訟法298条以下の証拠調べの局面において、証拠採用の必要性・相当性を判断する裁判所の裁量を認める際の根拠となる。弁護人が申請した証人を却下する決定が適法であるかを論じる際の基本となる判例である。
事件番号: 昭和25(あ)2886 / 裁判年月日: 昭和26年7月17日 / 結論: 棄却
一 なおストリキニーネを混入した鮒の味噌煮が苦味を呈しているからといつて何人もこれを食べることは絶対にないと断定し難いところであるから、殺人罪の不能犯であるとの主張は容認することはできない。 二 しかるに本件第一審公判において被告人及び弁護人は検察官の取調請求にかかる被告人の司法警察員に対する供述調書及び被告人の検察官…