判旨
上告理由として主張される違憲が実質的に単なる法令違反にすぎない場合には、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法405条の上告理由において、形式的に憲法違反を主張していても、その実質が単なる法令違反にすぎない場合に、適法な上告理由として認められるか。
規範
刑事訴訟法405条所定の上告理由のうち「憲法の違反があること」の主張であっても、その実質が単なる「法令の適用に誤りがあること」をいうものであれば、適法な上告理由とは認められない。
重要事実
被告人がたばこ専売法(昭和30年当時)78条の規定により処断された事案において、弁護人は違憲を理由に上告を申し立てた。しかし、原審(控訴審)は、第一審判決が同条を適用して処断した判断を相当とし、被告人側の主張を斥けていた。被告人側はさらに上告したが、その主張は形式上は違憲を掲げるものの、内容的には法令適用の誤りを指摘するものに留まっていた。
あてはめ
本件の上告趣意は、形式的には憲法違反を主張している。しかし、その内容を精査すると、実質的には単なる法令違反の主張にすぎない。また、記録を精査しても、職権で判決を取り消すべき重大な事由(刑事訴訟法411条)も認められない。したがって、適法な上告理由を備えていないといえる。
結論
本件上告は、適法な上告理由に当たらないため棄却される。
実務上の射程
上告趣意書の作成において、安易に憲法違反を形式的に主張するだけでは足りず、具体的・実質的な違憲性を明示しなければならないという上告審の厳格な運用(実質的法令違反排除)を示すものである。
事件番号: 昭和25(あ)778 / 裁判年月日: 昭和26年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条の職権破棄事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が有罪判決を受け、弁護人が上告を申し立てた。弁護人の上告趣意には刑訴法405条所定の上告理由が含まれていたが、裁判所が検討した結果、その…